スパコンで副作用予測、新薬開発安く 東大・エーザイなど

2015/5/2付
保存
共有
印刷
その他

東京大学と東京医科歯科大学、エーザイの共同チームは、新薬の候補になる物質の副作用リスクをスーパーコンピューターで精度良く予測する技術を開発した。心臓の動きを細かく計算できるスパコン「京」のノウハウを生かし、薬の成分が心臓の不整脈を起こす恐れを調べる。実用化へ最大の課題である安全性を早いうちに洗い出し、3万の候補物質から1つの新薬しかできないとされる成功率を高める。

エーザイは自社での活用を検討するほか、技術の精度を高めるため他の製薬企業にも共同研究を呼びかける方針だ。

新薬開発は、候補物質を探してから製品化までに10年以上の期間と数百億円の研究開発費がかかる。動物実験で安全と判断しても、臨床試験(治験)と呼ぶ人で安全性や有効性をみる段階で不整脈の危険が発覚すると、開発が中止に追い込まれる。リスクを早く見抜けば、有望な候補物質に開発投資を集中できる。

新技術では、約2000万個の細胞の振る舞いを正確に計算できる。心臓にあるたんぱく質が薬の候補物質にどう反応するかなどの実験データを加えると、スパコン上で心臓の拍動や心電図が変わり、不整脈が起きるかどうかを判定できる。

胃腸薬や抗アレルギー薬といった12種類の薬で試した。投与量を増やすなどすると副作用が出る薬を正確に見極めた。人に投与した場合と同じ結果だったという。将来は動物実験の一部を代替できると説明している。

コンピューター技術の進展や新薬開発を急ぐ必要から、米食品医薬品局(FDA)は薬の影響をコンピューターで予測する方法を取り入れる方針を打ち出している。動物などでは必ずしも人体での振る舞いがわからないからだ。英オックスフォード大学なども新薬開発に心臓のシミュレーション(模擬実験)を応用する試みを進めている。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]