2019年2月16日(土)

iPS創薬、京大が世界初の治験へ 骨の難病

2017/8/1 11:32 (2017/8/1 13:25更新)
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京都大学iPS細胞研究所の戸口田淳也教授らの研究チームは1日、筋肉の中に骨ができる難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の治療薬の候補をiPS細胞を使って発見し、近く臨床試験(治験)を始めると発表した。iPS細胞を使った創薬の治験は世界で初めてとなる。再生医療と並んでiPS細胞の柱の一つである創薬の分野が本格的に動き出す。

対象となるのは筋肉の中に骨ができる難病。国内には200万人に1人の割合で患者がいるといわれる(京大iPS細胞研究所)

記者会見する京都大の戸口田淳也教授(1日午後、京都市)=共同

治験は京大付属病院などで実施する予定で、同病院の審査委員会は計画をすでに承認した。近く実際の患者に候補薬の投与を始めて、安全性や効果を確かめる。

投与するのは既存薬の「ラパマイシン」で、臓器移植後の拒絶反応を抑える免疫抑制剤として使われている。研究チームはFOP患者の細胞から作ったiPS細胞を様々な細胞に変えて病態を再現。そこに候補薬を投与する実験などをして、約7000種の物質の中からラパマイシンに絞り込んだ。マウスに投与する実験では、病気の進行を遅らせる効果があった。

FOPは筋肉などの組織の中に骨ができる難病で、200万人に1人の割合で発症する。国内の患者は約80人とされる。根本的な治療薬がなかった。

戸口田教授は記者会見で「ラパマイシンは既に使われている薬。患者に大変喜んでいただけるのではないか」と話した。

iPS細胞の応用では、体の組織を作って移植する再生医療と創薬が二本柱として期待されている。再生医療では理化学研究所などがiPS細胞から目の細胞を作り、目の疾病の患者に移植する研究をすでに進めている。心臓病や脊髄損傷でも人での再生医療を目指す研究が進んでいる。

もう一方の創薬応用では、今回が初めて人に投与する治験となる。iPS細胞が開発されてから約10年がたち、創薬でも人に投与する段階に達した。

京大の別のチームは、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)に慢性骨髄性白血病の薬が効果を発揮することを見つけている。京大iPS細胞研究所は武田薬品工業とALSや糖尿病、がん、心不全、筋ジストロフィーなどの分野で、iPS細胞を使う創薬の共同研究をするなど企業を巻き込んだ動きも進んでいる。

遺伝子の異常などを原因とする難病などに特に応用が期待されている。患者の細胞をもとに作ったiPS細胞からは、病気を引き起こす細胞を実際に作り出すことができる。患者の体内を再現できることで、新薬を試す実験が進む。

京大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授は「ヒトiPS細胞ができて10年の節目に治験開始の発表をできることをうれしく思う。治験をきっかけに創薬研究がますます活発に行われ、他の難病に対する治療法の開発につながることを期待している」とコメントした。

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