米ムーディーズ「財政健全化、困難に」 増税延期・財政出動で
格付け会社の評価割れる

2016/6/2 23:37
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米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは2日、安倍晋三首相が消費増税の延期と今秋の経済対策を正式に表明したことについて「財政健全化に向けた目標の達成が困難になる」との見解を発表した。「信用評価上は否定的(ネガティブ)」という。米S&Pグローバル・レーティングは1日に「影響しない」との見方を示しており、格付け会社の間で評価は割れている。

ムーディーズは格付け自体や見通しについては変更していない。同社の日本国債の格付けは最上位の「Aaa」から数えて5番目に位置する「A1」。「A」は「中級の上位と判断され、信用リスクが低い債務に対する格付け」を意味し、「1」は「A」の中で上位に位置することを示す。

消費増税延期と追加財政出動についてムーディーズは「政府の財政健全化目標の達成に向けた能力と意思に対する疑念を高める」ことにつながると指摘。増税延期は「国内総生産(GDP)の約1%に相当する税収増が見送られると試算している」という。

主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で安倍首相が主要7カ国(G7)に呼びかけた財政出動については「持続的な成長拡大につながるとは考えにくい」と評価した。

増税延期に対するプロの格付け機関の評価は割れている。S&Pは1日の増税延期表明直後、「日本の格付けに影響は無い」とコメントを公表した。「増税で需要が弱まりデフレを再燃させるおそれがある」と指摘し、増税がかえって信用力の悪化要因になるとみる。

英米系のフィッチ・レーティングスは最近のリポートで「消費増税が代替措置なしに放棄される場合」に格下げにつながる可能性があるという。

足元の国債市場では、日銀が大量に買い入れる政策を続けていることもあり価格は高水準(金利は低水準)で推移している。ただ、日銀の大量買い入れは将来縮小する可能性がある。格付けの引き下げと重なれば、国債への売り圧力が強まり金利が急上昇する懸念もある。

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