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旧村上ファンド勢の株主提案可決 黒田電気総会

社外取締役を選任

電子部品商社の黒田電気は29日、大阪市内で株主総会を開き、旧村上ファンド元代表の村上世彰氏が関与する投資会社レノが提出した社外取締役を選任する株主提案を賛成多数で可決した。モノ言う株主による株主提案が可決されるのは珍しく、三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると、2009年のアデランスホールディングス(現アデランス)の総会で米スティール・パートナーズが推す取締役の選任が可決されて以来、約8年ぶりになる。

黒田電気はレノの提案に反対していたが、共同保有分を含めて発行済み株式の約37%を握るレノに加え、他の少数株主も賛同した。米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)もレノの提案に賛成推奨していた。レノの推す取締役が1人と少なく経営体制が直ちに急変しにくいことも他の株主から受け入れやすかったと見られる。取締役選任は過半数の株主が賛成すれば可決となる。

レノの株主提案により総会で社外取締役に選任されたのは、通商産業省(現経済産業省)出身でフューチャーアーキテクト社長やSGホールディングス傘下のSGシステム社長を務めた安延申氏。細川浩一社長ら6人の取締役の選任などを求める会社提案も承認された。これにより黒田電気の取締役総数は7人となり、うち6人が会社提案、1人がレノ提案で選ばれた取締役となる。

レノは黒田電気に他社との経営統合や株主還元の強化を求めており、圧力を強めていくとみられる。レノと黒田電気は真っ正面から対立してきた。レノは「黒田電気が単独で生き残るのは限界がある」とし、同業との経営統合で規模を拡大すべきだと主張。自社株買いやコーポレートガバナンス(企業統治)の強化を経営陣に訴え、議論の推進役として安延氏を社外取締役に選任するよう求めた。一方、会社側は製造部門を持つ自社の強みを生かし本業の立て直しに集中すべきだとして、5月下旬の取締役会でレノの株主提案に対し反対を決議した。

村上世彰氏は6月23日に都内で開いた講演会で黒田電気に触れ、「株主提案が通るかもしれず、おもしろいショーが見られるかもしれない。この国の上場企業のあるべき姿を少しずつ示したい」と述べた。黒田電気によると、4月の村上氏、レノ代表の福島啓修氏との面談では、村上氏から「時として応対した経営陣を威圧するような姿勢」があったという。黒田電気の社内には村上氏とレノを敬遠する空気がくすぶっており、感情的なしこりが今後の会社運営に影響する可能性もある。

旧村上ファンド関係者が立ち上げた投資ファンドの動きは活発化している。エフィッシモ・キャピタル・マネージメントは川崎汽船や第一生命保険の大株主として存在感を高め、ストラテジックキャピタルは新日本空調などに対して政策保有株の売却を求めたりする株主提案を出した。(湯浅兼輔、竹居智久)

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