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「教育」は、世の中をよくできるか。

 日本経済新聞社は、読者や企業の皆さんと一緒に日本の課題について考え、議論する「未来面」をスタートさせました。今回のシリーズのテーマは「革新力」です。日本経済新聞の紙面と電子版を通じて経営者と読者が双方向で対話し、アイデアの実現可能性を探ります。企業のモノ作りは、サービスは、金融は世の中をよくできるのか。革新的なアイデアをお寄せください。

世界をリードする「人財」をどう育てるか?
読者の提案 永瀬昭幸・ナガセ社長 東進ハイスクール理事長編

(4/5ページ)
2016/8/29 3:30
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■課題は自分で探し、見つけるもの

武笠 陽介(早稲田大学基幹理工学部1年、18歳)

いまの教育は、宿題やテストで学ぶべき範囲や問題がすべてあらかじめ与えられる。こういう状況が間違っているのではないか。範囲があるから、子どもはここまでやればいいや、という境界線を作ってしまう。実際に、教科書の端のほうにある発展問題のところは、先生の「テスト範囲外です」の一言でみんなスルーする。このような発展や応用の項目こそ、学ぶことに興味や関心を持てるきっかけになりうる。だから非常にもったいない。また、社会に出れば問題は必ずしも与えられるとは限らず、自分で探し、見つけなければならない。学校で自分が苦手な問題を作ってくる、という宿題があればおもしろい。自分の弱みを分析し、そこから問題という形にする。問題を解くだけでは身につかない、課題を見つけて解決する一連のフローによって課題解決の能力を養うことができる。このように、範囲をなくすことで自由に学びやすくなる。問題は与えられるとは限らず、自ら見つけねばならない状況での教育が世界をリードする人財を育てるはずだ。

■小学校で生徒が得意分野を教え合う

川原 聡史(北海道大学大学院生命科学院修士2年、24歳)

小学校の授業を工夫することで、自分の考えを積極的に発信し、批判的な視点で周りをとらえられる人財の育成を目指す。そんな方法を提案したい。具体的にどのように授業を進めるのか。それは生徒自身が自分の得意なこと(勉強や音楽、スポーツなど)を他の生徒に教える時間や、クラス全員でディベートする機会を増やす、という方法だ。また教師が生徒に一方向的に教える授業においても、教師が生徒を当てて発言させるというだけではなく、生徒から自発的に質問や考えが出てくるような雰囲気づくりを心がける。1つのクラスは多くても25人程度にし、教師が生徒一人ひとりをしっかり認識できるようにする。なお「グローバル化」に関しては、英語圏以外の国に目を向ける視野の広さも大切だ。英語学習だけにこだわらず、まずは様々な国の文化を知る機会が学校教育の中で用意されていることが重要だと感じている。

■世代を超えたパートナーシップを築く

高橋 彩(学習院大学法学部4年、23歳)

世界をリードする人財を育成するにあたって鍵になるのは世代間のパートナーシップを築くことだろう。現代社会が抱える課題の多くは、現役の世代がコストを支払う。そしてそこから得られるリターンは将来を生きる世代が享受する。リーダーはたとえ現役の世代にとって厳しい選択であったとしても、目先の利害にとらわれず、長期的な視野に立った意思決定をする必要がある。そこで、そうした人財を育てるためには、まず各界のリーダーが自らの生涯だけで物事を解決するのではなく、次世代とともに解決していく姿勢を持つべきだと思う。そのうえで、産官学など各界の人材を結集する「ハブ機関」をつくる。そこを起点に、若い世代も交えた幅広い世代が集まる人財交流の仕組みを確立することが不可欠だろう。そして幅広い世代の知識や経験、思いなどを共有することから始め、親から子、孫の世代へといった長期を見据えた投資をする素地を整えるべきではないか。

■「経験を積む機会」を全国で

荒澤 涼輔(早稲田大学法学部4年、23歳)

就職活動を通じて、私は「経験」の重要性を痛感した。起業の経験やディベート大会での活躍など、こうした経験を積んだ人材はその能力はもちろん、機会に恵まれた人でもある。私のような田舎育ちの人間からすれば、そんな機会はほぼ皆無だった。仮に機会があっても意識すらしなかったと思う。官民が協力して、アイデアグランプリやビジネスコンテスト、ディベート大会など各部門を賞金付きで行うのはどうだろう。全国47都道府県で地方大会を開き、最後は全国大会を催す。企業にとっては、協賛によって広告効果も期待できるし、もちろん優秀な学生も発掘できる。こうした「経験」を積む「機会」の提供は、学生からすればたとえ賞金目当てであっても意味があるし、国にとっても将来を担う人材を育てるチャンスだろう。幅広い選択肢を、国や企業が学生に与えることこそが「人財」育成の第一歩ではないだろうか。

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