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「教育」は、世の中をよくできるか。

 日本経済新聞社は、読者や企業の皆さんと一緒に日本の課題について考え、議論する「未来面」をスタートさせました。今回のシリーズのテーマは「革新力」です。日本経済新聞の紙面と電子版を通じて経営者と読者が双方向で対話し、アイデアの実現可能性を探ります。企業のモノ作りは、サービスは、金融は世の中をよくできるのか。革新的なアイデアをお寄せください。

世界をリードする「人財」をどう育てるか?
読者の提案 永瀬昭幸・ナガセ社長 東進ハイスクール理事長編

(3/5ページ)
2016/8/29 3:30
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その他

■家庭と学校教育、そして己と相手を知る

西村 捷敏(無職、76歳)

3点提案したい。第一に重要なのは、幼児および義務教育の期間中における「家庭教育」の土壌づくりだ。親子や兄弟姉妹間における日常的なコミュニケーションの流れを絶えず維持発展させる土壌を形成することが大切になる。子供のコミュニケーション能力の基礎を育むのに役立つはずだ。第二に、学校教育の改善も重要になる。座学の講義中心から「チームによるケーススタディやグループディスカッション」といった応用・実践的なカリキュラムを加えていくことが大切だと思う。そして第三には「己を知り、相手を知る」という教育の充実と強化を挙げたい。言い換えれば「自国の歴史・文化・現実」を改めて学び直すと同時に、「他国の歴史・文化・現実」をしっかりと学び、いわゆる「比較文化的理解」の素養を身につけることだ。これはグローバル化がさらに進展していく21世紀において、不可欠な教養だと言っていいだろう。以上掲げた3点の「三位一体的教育」を推進すべきだと考えている。

■偏差値から資格へ

今村 伸児(会社員、68歳)

偏差値教育は生徒に序列を付けるため、優越感や劣等感など感覚的なものを子どもの心に残しやすい。それよりは資格が良い。階級制度のもと、初級しか取れないとしても子ども自身が「自分はこれだけは分かっている」と思える。高校生でも大学レベルに挑戦できるようにすれば、今よりも能力の高い高校生も出てくるだろう。同じ能力レベルの友人と助け合い、また競い合いながら、資格合格を目指せる。資格制度のもとでは、順位をめぐる競争ではないから全員合格もありうる。そして、必須科目の資格をそろえた高校生なら、あとは自分が得意な分野を目指せばよい。高校の科目以外に多様な資格を身につければ、個人の多様な能力開発に役立つ。大学や企業は、必要な資格を取得した若者に、入学適性検査をすればよい。高校の学習内容からは出題せず、資料等を与え、理解力や分析力など、社会で必要な力を持っているかチェックする。英語力を伸ばすには、自分の意見を持ち、それを他人に語りたい、という心を育てる教育が大切だ。

■教師に「国際理解教育」を

赤井 一繁(団体職員、37歳)

世界をリードする「人財」を育てるために、対応できる教師を研修などで養成することが重要だ。教育の質は、教育の担い手である教師の指導力によるところが大きい。教師教育の中で、特に国際理解教育が重要になってくる。なぜなら、国際理解教育は「自己と他者の人権を尊重しながら、異なる文化を認め、世界の人々と共に生きていこうとする人間を育てる」ことにねらいがある。その根底には「グローバルな視野を持つ人財を育成する教育への期待」がある。最近になって、いくつかの教員を養成する大学では、国際理解教育の授業を必修にしたり、国際理解教育のコーディネーターとして養成を受けた学生が講師役となり、小中学校でワークショップを開催したり、と充実を目指す動きが見られる。まずは教師教育が変わることが必要だ。その結果、国際理解教育のねらい、すなわち世界の人々との共生を志す人財の育成に近づくことが期待される。

■自分の頭で考える勉強こそ必要

矢崎 達人(会社員、51歳)

大前提として、若い時代にしっかり勉強をする根気や思考力を養うことは必須条件だ。「学歴偏重」を批判する結果として勉強自体を否定するのは間違っている。しっかり勉強してきた力は社会人としての基礎を形づくる。ましてやグローバル時代のリーダーにはむしろ勉強こそ必要不可欠だと認識すべきだろう。日本の問題は、歴史の勉強でいえば年号の暗記など、答えが明確に出る内容にあまりに偏っている点にある。日本史への理解などはリーダーに絶対必要な素養だが、本来学ぶ意味は、なぜその事象が起きたのか、その深い意味を自分で考えることだ。例えば平安時代に新仏教が盛んになったのはなぜなのか。民衆の苦悩と為政者の行動、周辺国の動きを結び付けて考察すると、リーダーとして重要な点が浮かび上がってくる。年号を覚えるだけでは考察にはつながらない。自分の頭で考えることこそリーダーに必要な資質であり、それを鍛える学校教育及び受験制度が欠かせないと考えている。

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