2019年6月27日(木)

フォローする

「教育」は、世の中をよくできるか。

 日本経済新聞社は、読者や企業の皆さんと一緒に日本の課題について考え、議論する「未来面」をスタートさせました。今回のシリーズのテーマは「革新力」です。日本経済新聞の紙面と電子版を通じて経営者と読者が双方向で対話し、アイデアの実現可能性を探ります。企業のモノ作りは、サービスは、金融は世の中をよくできるのか。革新的なアイデアをお寄せください。

世界をリードする「人財」をどう育てるか?
読者の提案 永瀬昭幸・ナガセ社長 東進ハイスクール理事長編

(2/5ページ)
2016/8/29 3:30
保存
共有
印刷
その他

■やりたいことを実現するための「計算」を教育で

竹島 雄弥(会社員、27歳)

世界をリードしてきたのは、いつだってパイオニア精神にあふれる人たちで、彼らはチャレンジャーだった。何の志も計画もなしに挑戦して成功している人はほんの一握りで、大半の成功者は最初から「自分が何をしたいのか」を知り、「どうすれば実現できるか」と計算している。志の持ち方は人それぞれだ。教育者の役割は「計算の方法」を教えることにある。そもそも日本人が挑戦する心を持てないのはリスクを過大に、そして得られるリターンを過小に評価してしまう点に原因がある。この価値観を是正しなければ、挑戦への動機付けはできなくなる。まず「リスクが皆無なのだ」という認識が大切だ。日本の福祉と就職は充実しており、若いころに失敗したっていくらでも受け皿はある、と知ってもらいたい。そして最高のリターンはお金以上に「生きているという実感」だ。誰にもまねできない、自分だけの人生を歩めるのだ。安全なレールの上では決して得られない充足感が得られるのだ、と伝えたい。

■根源的な問いで培う人間力

谷口 夢奈(筑波大学人文・文化学群3年、20歳)

現在の高等教育における「実学偏重主義」を克服する必要がある。地方の国公立大学で人文社会系の勉強をして感じるのは、社会が求める人財と大学が教育している人財にギャップがあることだ。本来、大学は「生」とは何か、「知」とは何か、という人間の根源的な問いを自らの責任において自由闊達に追求できる貴重な期間だと思う。それが社会によって抑制されており、実学ばかり身につけることが求められている。本質を追求することで、自分の価値に気づき、仕事を手段として選ぶことが可能な社会であるべきだ。詰め込み教育が人財の不足要因なのではない。社会と教育機関が求める「人財像」を一致させていくことで、志をさらに高め、ノブレス・オブリージュ(高貴なる者に伴う責任)の精神を持った人財の育成につながるのではないだろうか。まずは社会が、大学の偏差値やブランドにとらわれた採用方法を排除し、「本質の追求」を通して身につけられた人間力を見極められる制度を作るべきだ。

■海外留学先ではぜひインターンシップ体験を

佐藤 勝彦(独ブレーメン経済工科大学応用経済言語・国際経営学部客員教授、73歳)

近年、多くの大学が海外に提携校を持つようになり、海外留学は珍しくなくなった。しかし、単に留学するだけではもったいない。是非、留学期間中には休みを利用してインターンシップを経験してほしい。インターンシップは職業社会の仕事がどのようなものか体験できる。さらに、今まで学んできたことを社会でどう生かすか、また、社会に出るために自分には何が足りないのかを理解する最適な方法だ。海外でインターンシップを経験すると、言葉や文化、国籍の違いが生み出す多様性(ダイバーシティー)を生かし、世界をリードする人財としての基礎が育まれる。その中で、特に世界における自分の力を知り、広く地球社会における解決すべき課題を考えるようになる。視野が広くなるとともに、地球規模で多様に物事を見ることができるようになる。大学での海外インターンシップはまだ黎明(れいめい)期だ。ただ近い将来、大学教育あるいは高校教育の正式な科目となることを願っている。

■活発で論理的な議論の環境づくりから

津田 春佳(慶応義塾大学経済学部4年、22歳)

世界をリードできる人財とは、自分の意見を論理的に主張し、議論できる人間だ。米国の大学に留学していた時に痛感したのは、日本人がロジカルに議論を組み立て、相手を説得するのが苦手だということだった。ディベートの授業は、肯定や否定という立場を与えられ、あらかじめ準備をして挑む。この機会を生かし、自分の持つ知識を基に、即座に意見を主張する練習をすべきだと思う。そのためには、人の意見を聞く力や英語力の向上はもちろんのこと、それ以上に哲学や論理学といったロジカルに主張を組み立てる素養が求められる。また、相手を理解するために自分の国だけでなく、他国の歴史や文化をしっかりと理解することが急務だ。歴史教育の場合は発生した事柄をただ教えるのではなく、その時代を横に切り取り、その事象の政治的、経済的な背景や人々の考え方を理解できるようにすべきだろう。世界をリードする人財育成とは、「活発で論理的な議論ができる環境づくり」から始まる。

  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

東原敏昭・日立製作所社長兼CEO編

国分文也・丸紅社長編

高橋広行・JTB社長編

山内雅喜・ヤマトホールディングス社長編

尾堂真一・日本特殊陶業社長編

柄沢康喜・三井住友海上火災保険社長編

大野直竹・大和ハウス工業社長編

越智仁・三菱ケミカルホールディングス社長編

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ

電子版トップ連載トップ


日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報