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途上国の市場、「『下から目線』で開拓を」 明治大・大石教授

地球規模の問題を解決するのに必ずしも巨大なシステムはいらない。シンプルな仕組みや技術によって、途上国の生活改善や問題解決を目指す「BOP(ベース・オブ・ピラミッド)ビジネス」が注目を集めている。今後の可能性や企業にとっての課題を、同分野に詳しい明治大学経営学部の大石芳裕教授に聞いた。

――BOPビジネスが注目を集めている背景を教えてください。

「地球環境が破壊されると人間のシステムが成り立たないのと同様に、貧困を放置したまま持続的に世界が成長を続けるのは不可能だ。1日2ドル以下で暮らす人は世界に20億人おり、そうした貧困層(BOP)の所得が増えれば企業にとってビジネスチャンスが広がる。途上国が豊かになることで先進国も利益を得られ、地球全体の豊かさにつながる」

「企業活動を通じて低所得層の底上げを目指すのが、BOPビジネスだ。一部に偏った豊かさだけでは持続的な経済発展ができないことに多くの欧米企業は気が付いている。フィリピンでコーヒー農園の技術支援を行っているネスレがその一例だ」

――途上国市場の開拓に不可欠な条件をどう考えますか。

「最先端を追い求めるのが必ずしもイノベーションではない。現地のニーズを満たすイノベーションがあって初めてモノやサービスが売れる。ヤマハ発動機がインドネシアで展開している浄水器事業は、川の水をくみ上げて浄化するメンテナンス不要なシステムで、仕組みはシンプルだ。複雑な最先端技術でなくてもできることは多くある。重要なのは自らの強みとする技術をいま一度見直す『技術の棚卸し』だ」

――日本企業のBOPビジネスの取り組みは。

「BOPビジネスに対する日本企業の関心は高くないのが現状だ。新興国のMOP(ミドル・オブ・ピラミッド=中間層)を、日本で売っている既製品の小型化や価格帯の引き下げで攻めようとしているが、こうしたアプローチはことごとく失敗している」

「必要なのは上からではなく『下から目線』だ。欧米企業は現地のニーズを満たしながら中間層を攻めるBOP的発想で先を行っている。日本企業はこれまで技術に注力してきたが、ビジネスモデルの構築が弱く、欧米のライバルと利益率に差が出る一因になってきた。BOPの生活改善につながり、彼らが買ってくれる仕組みをどう構築するかが問われる」

――現地企業との提携や買収も選択肢になりそうです。

「現地のことは現地企業が詳しく、提携やM&A(合併・買収)は広がるだろう。途上国ビジネスを目利きする組織を作ることも含めて、日本企業がこれからグローバルに生き残るために重要だ。ただ、BOPビジネスに乗り出せばすぐに利益が上がるわけではない。よほど先に手を打つ心構えが求められる」

(聞き手は篠崎健太)

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