パナソニックとシャープ、改革の成否で収益明暗

2015/2/4 2:00
保存
共有
印刷
その他

パナソニックが成長軌道に回帰しつつある。3日発表した2014年4~12月期連結決算(米国会計基準)は本業のもうけを示す営業利益が2902億円と前年同期より10%増えた。自動車と住宅という新たな成長の柱が収益をけん引する。一方でシャープは同日、15年3月期通期に300億円の最終赤字になる見通しだと発表した。中小型の液晶パネル事業が急速に悪化している。成長へ向けた構造改革の成否で業績の明暗が鮮明になってきた。

■パナソニック、車と住宅がけん引

「着実に収益を生む形に変わってきた」。パナソニックの河井英明専務は3日に開いた記者会見で、こう強調した。14年4~12月期の売上高は5兆7193億円と前年同期比1%増だったが、営業利益は2ケタ増と好調を維持した。

けん引役は自動車と住宅関連事業になる。自動車では電気自動車(EV)などに使うリチウムイオン電池が好調だ。住宅では太陽光発電が伸びている。今では自動車用機器と住宅関連を含む事業部門で全体の半分以上の利益を稼ぎ出す。

「大幅な値下げをしているのではないか」。パナソニックの自動車向け事業は競合他社からこんな声が出るほど好調だ。米フォード・モーターから次世代型の情報端末を受注し、フロントガラスに情報を表示する新型ディスプレーも欧州メーカーに納入が決まった。自動運転技術の開発センターを新設するなど自動車事業は急拡大している。

決算発表するパナソニックの河井専務(3日午後、東京都港区)

決算発表するパナソニックの河井専務(3日午後、東京都港区)

住宅事業も成長している。国内は消費増税以降、太陽光発電を除いて伸び悩むが、アジアでスイッチなどの配線器具や換気扇などが伸びている。

パナソニックは薄型パネルへの投資失敗などで、13年3月期まで2年連続で7500億円超の最終赤字を計上した。12年6月に就任した津賀一宏社長は企業向けビジネスへのシフトを掲げて、テレビや半導体など不振事業のリストラに踏み切る。中国のテレビ生産から撤退を決めるなど矢継ぎ早に改革を進めた。

中国で苦戦していたエアコン事業は構造改革によってコストが減り、4~12月期に営業利益が前年同期の4.4倍に増えた。営業赤字だった液晶パネル事業も外部顧客への販売が伸びて10~12月期に黒字転換した。

「15年は挑戦の第2幕を始める年だ」。今年初め、津賀社長は社内にこんなメッセージを送った。15年3月期は中期計画の目標を1年前倒しで達成する見通しで、情報システム子会社のパナソニックインフォメーションシステムズを8月1日に完全子会社化するなどグループの改革も進む。

悪化していた財務体質も着実に改善し、今では実質無借金に転換した。「戦略投資の原資にしたい」(河井専務)として新たに4千億円の社債発行枠を設定した。19年3月期の売上高目標10兆円の達成に向けて、今後はM&A(合併・買収)などに打って出る。

■シャープ、中小型液晶が急ブレーキ

シャープが再び苦境に陥っている。15年3月期は300億円の黒字予想から一転して2期ぶりの赤字に転落する。昨年秋以降、スマートフォン(スマホ)向け液晶パネルの販売に急ブレーキがかかり、液晶テレビも販売が下振れした。現在の中期経営計画を撤回し、新たな再建計画の策定を迫られている。

決算発表するシャープの高橋社長(3日午後、東京都港区)

決算発表するシャープの高橋社長(3日午後、東京都港区)

「責任を重く受け止めている」。3日の記者会見で高橋興三社長は、こう語った。営業利益は前期比54%減の500億円と、従来計画の半分に下方修正した。太陽光パネル事業などの推移次第では、最終赤字がさらに拡大する可能性もある。

業績悪化の主因は成長事業と位置づける液晶パネルの戦略ミスだ。大口顧客である中国のスマホメーカー、小米(シャオミ)からの受注が苦戦するところに、ジャパンディスプレイなどライバルの攻勢を受けて納入価格が下落した。市場拡大を見込んでいたタブレット(多機能携帯端末)向けのパネルも、計画したほどには伸びなかった。

受注悪化でシャープは亀山第2工場(三重県亀山市)で省電力の中小型パネル「IGZO(イグゾー)」の生産量を減らしている。積み上がった在庫を圧縮するまで当面は減産を続ける方針だ。

液晶テレビでも市場の動向を見誤った。米国は30種類以上を展開する商品戦略が浸透せず、国内では高精細の「4Kテレビ」の商品化が遅れた。「地域ごとに新たな戦略を探る」と高橋社長は話すがテレビ事業は世界的に採算が悪化している。

有利子負債は高止まりし、財務の健全性を示す自己資本比率は赤字によって再び10%を下回る可能性がある。みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の主力2行から引き続き支援を受けるには、経営再建へ向けた新たな対策を打ち出さなければならない状況になった。

新たな経営計画は今年5月をメドに策定する。高橋社長は「抜本的な改革を打ち出し、不退転の決意で臨む」と話すが、「スピード感がなかった」(高橋社長)というこれまでの反省をいかし、今度こそ成長への道筋を示す必要がある。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]