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投信分配金引き下げ 運用難、「毎月型」見直し相次ぐ

個人投資家が投資信託から毎月受け取る分配金が相次ぎ減少している。為替市場での円高や世界的な低金利の進展によって分配に回す原資が細っているためだ。毎月の分配金は家計の補填になるが、その分、将来の資産は増えにくくなる。分配金を再投資に回して長期的な資産形成を重視する機運も分配金の減少を後押ししている。

分配金は原則的に投信の1万口当たりの値段(基準価格)に対して決まり、株式の配当に相当する。

三井住友アセットマネジメントは6月、「アジア好利回りリート・ファンド」の毎月分配金を200円から130円に引き下げた。野村アセットマネジメントも「野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(米ドルコース)」の6月の分配金を5月に比べて50円少ない100円とした。

分配金の引き下げが相次ぐのは、運用成績の悪化が大きい。例えば、オーストラリアやシンガポールの不動産投資信託(REIT)に投資する三井住友アセットの投信では5月末時点で過去1年の運用成績がマイナス10.7%だった。アジア各国の通貨が対円で大幅下落したことが響いた。

日興リサーチセンターが純資産総額500億円以上の毎月分配型投信を対象に調べたところ、2016年1~6月に分配金を引き下げた投信は38本となり、前年同期に比べて13本増えた。

毎月分配型投信の多くは、分配金の原資を稼ぐために高利回り債券などの投資対象資産からの収入に加え、円を売って高金利通貨を買う取引で金利差収入を捻出する。年初からの金利低下と対円での通貨安が二重苦となり分配金引き下げを迫られている。

欧州連合(EU)からの離脱が決まった英国の国民投票後は為替相場などが乱高下し、運用面の逆風はさらに強くなっている。このため7月以降も分配金を下げる投信が増える可能性もある。

分配金を巡る資産運用業界の変化も目立つ。日興リサーチセンターの藤原崇幸主任研究員は各社の分配金引き下げについて「投信市場が正常化する動きだ」と指摘する。15年までは運用成績が悪くても元本を取り崩して分配金に充てる投信は多かった。金融庁はこうした慣行を問題視し、是正する動きが広がった。

16年1~6月に登場した新たな投信に占める毎月分配型の比率は、設定額ベースで1%と、15年の14%から急減している。運用各社からは「無理な分配金競争ではなく、中長期的な運用成績で競う姿が望ましい」との声がある。

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