2019年5月23日(木)

ミサイル発射、なぜ円買い? 不安心理で外貨運用縮小

2017/8/30 0:59
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29日の金融市場は北朝鮮のミサイル発射に揺れた。円相場はロンドン時間に対ドルで一時4カ月半ぶりの水準まで上昇。不安心理が高まった局面で資金の受け皿になりやすい金や日本国債には買いが入った。一方、日経平均株価は続落も、朝方のリスク回避の動きが一巡すると下げ幅を縮小した。投資マネーは、その影響を見極めようとしている。

「なにが起きているんだ」。北朝鮮がミサイルを発射した午前6時前。邦銀のディーリングルームに緊張が走った。情報端末が急激な円高進行を示すと、円相場はすぐに1ドル=108円30銭台まで1円近く上昇した。ロンドン時間では円買いが再加速。108円20銭台をつけ、今年の高値(108円13銭)に迫った。

ミサイルを巡る問題は日本が当事国。危機感の高まりが本来は円を売る要因になるが、投資家は円を買わざるを得ない理由がある。

世界の投資家は金利水準が低い円で資金を調達し、外貨に転換して運用する傾向がある。リスクに敏感なムードになると、資産の保全を目的にこうした取引を解消するための円買いが広がりやすい。その経験則から「有事の円買い」の連想が働き、先回りの買いを呼び込む面もある。

過去の事例を基にコンピューターが自動で売買する「アルゴリズム取引」の普及も、円高進行の一因だ。アルゴには「不安心理が高まった局面では円買い」と判断するようプログラムされている場合が多く、29日は「ミサイル発射」などのニュースの見出しに反応した。日本にとって好ましくない材料であっても機械的に円買いに動くため、円高に拍車を掛けた。

ただ、投資家には今回のミサイル発射の影響をどう捉えるべきか戸惑いもある。揺れる心理を表したのは日経平均だ。朝方に下げ幅を一時170円近くまで広げたが、結局は前日比87円35銭安の1万9362円55銭で終えた。東証1部の売買代金は2兆円割れと盛り上がりに欠け、投資家の様子見ムードを映し出す。

地政学リスクの影響は測りにくく、企業業績や経済指標などと比べて相場への織り込みが難しい。北朝鮮はこれまで幾度も弾道ミサイルを発射した。今回は日本列島を通過するという挑発の度合いを増したものだが、「違いが判然とせず、持ち高を一方向に傾けづらいとの雰囲気が次第に広がった」(国内証券)という。

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