預金保険料率、下げ決着 半分の0.042%に

2015/3/27付
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銀行など金融機関が預金者保護や金融システム維持のために積み立てている預金保険料率が、2015年度から現行の半分になることが正式に決まった。昨年7月から8カ月に及んだ議論は決着したが、ゆうちょ銀行が信用力に応じて料率を定める「可変料率」の導入を要求した。早くも、金融平時の安全網づくりに向け抜本的に制度を見直す機運が出ている。

預金保険機構は27日、運営委員会を開き、現在0.084%の預保料率を0.042%に引き下げることを決定した。料率そのものを引き下げるのは1971年の制度開始以来初めて。預保料率はバブル崩壊後の不良債権処理問題が浮上したのをきっかけに、96年に従来の0.012%から0.084%まで一気に引き上げた経緯がある。

初の引き下げには90年代からの金融危機が終結し、対応策も節目を迎えたという意味がある。とはいえ早くも、抜本的な預金保険制度見直しが議論になりそうだ。

「(積立金がある程度増える)2~3年後には見直しのタイミングが訪れる」(金融庁幹部)。預保機構は1月に公表した報告書で、今後の検討課題として可変料率を明記した。「(積立金が)一定の規模を達成した時点で検討すべき課題」などの意見が出たためで、今後の焦点は導入の可否だ。「預保制度の抜本的な見直しにつながる」(金融関係者)テーマになる。

可変料率は金融機関の信用力に応じて、預保料率を決める仕組み。信用力が高い大手銀行は料率が抑えられるが、低い銀行は負担が増す。預保機構の報告書によると、可変料率は米国やカナダなど諸外国で導入が進んでおり、世界約80の預保機関のうち3分の1で導入済みだという。

国内での預保制度見直しの機運の一方で、国際的な自己資本規制は個別の銀行に多くの資本を持つよう求める方向で進んでいる。足元では、国債などを多く保有する銀行に対して、資本を積み増すよう求める新規制の議論も浮上している。

個別銀行の自己資本充実と預保制度に共通するのは将来の危機への備えで、「預保制度の整備・充実と銀行自身の健全経営に向けた努力は両輪」(全国銀行協会の平野信行会長)という位置づけだ。金融平時のセーフティーネットづくりでは、バランスのとれた議論が必要になりそうだ。

もっとも可変料率の導入は一筋縄ではいかないとみられる。全国地方銀行協会の寺門一義会長(常陽銀行頭取)は「今回は議論もしていないという認識。検討するならしっかりした議論が必要だ」と慎重な姿勢だ。体力や信用力の差が大きい地域金融機関では可変料率への反対論が根強く、曲折をたどりそうだ。

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