2018年4月24日(火)

フィンテック、民の力で開拓 日銀総裁「仮想通貨で金融変化」

フィンテック
2016/8/24 0:54
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 日銀は23日、金融とIT(情報技術)を組み合わせたフィンテックの将来に関する初会合を都内で開いた。黒田東彦総裁は仮想通貨の技術が「金融に大きな変化をもたらす」とする一方、情報の安全性確保などが課題だと述べた。ベンチャーも含む民間企業の活力を十分に引き出せるよう、金融当局には規制を必要最小限にとどめる姿勢も求められそうだ。

フィンテックフォーラムであいさつする日銀の黒田総裁(23日、日銀本店)

フィンテックフォーラムであいさつする日銀の黒田総裁(23日、日銀本店)

 日銀は4月にフィンテックセンターを行内に設置。国際的に出遅れているフィンテック市場の育成に向け、主役の民間をどうサポートできるかの研究に着手した。この日の会合は日銀とNECや日本IBM、NTTデータなど8社との共催だ。

 黒田総裁はあいさつで「eコマースやシェアリングエコノミーへの刺激など、実体経済への影響も注目すべきだ」と指摘。会合では仮想通貨の中核技術で、取引参加者が互いの金融取引記録を保有し合う「ブロックチェーン」と呼ばれる認証技術に関して活発に意見が交わされた。

 地銀でもフィンテック活用の動きは広がり、横浜銀行や住信SBIネット銀行などはブロックチェーンを使い、10月から24時間、365日の決済が可能な低額送金のシステム構築を目指す。

 「あしたの天気はどうですか」。鹿児島銀行のインターネットバンキングは、合言葉をスマートフォンに向かって話すと、従来のパスワードを入力せずにログインできるようになる。煩雑でお堅いイメージの銀行サービスをフィンテックが変えようとしている。

 フィンテックの波が全国に及びつつあることで、日銀も急成長の過程で起こりうるリスクに目配りせざるを得なくなっている。

 例えば幅広い分野で普及が見込まれるブロックチェーンを巡っては、海外では仮想通貨の窃盗事件も相次いでいる。第2、第3のマウントゴックス事件――。

 仮想通貨イーサを通じクラウドファンディングで150億円を調達した投資ファンドのザ・ダオは6月に約3分の1の資金が不正に引き出された。香港大手の仮想通貨取引所も8月に約65億円のビットコインが口座からハッキングで盗難に遭い、衝撃が広がった。

 金融庁は5月に仮想通貨の法規制を初めて設け、日銀も民間との協業を探る。ただ、フィンテックは日進月歩で技術革新が進み、開かれたネットワークに移行する分、サイバー攻撃などの潜在的な標的になりやすい。

 日銀や金融庁は先進システムの弱点を突く新種の犯罪手法とのいたちごっこが続きそうで、黒田総裁もフィンテック市場の発展は情報保護などの「セキュリティーへの対応」が要になると警鐘を鳴らした。

 民間調査によると、日本の2015年の関連投資額は65億円にすぎない。首位米国の0.5%にとどまり、中国のわずか30分の1だ。国内の金融機関は、独自の技術を持つIT企業とどう迅速に連携していくかも課題になる。

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