2019年1月24日(木)

農業金融「独占」に風穴 三井住友銀、農業法人を設立

2016/6/15 22:41
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三井住友銀行は15日、秋田県で農業法人を設立すると正式発表した。銀行では初の試みで、農地の集約や大規模営農を進めて新たな資金需要を掘り起こす狙いがある。農協(JA)系や政府系金融機関が独占してきた農業金融の世界に風穴を開ける。

秋田県の有力農業法人や秋田銀行などとの共同出資で、7月に自ら農地を所有して農業を営む「農地所有適格法人」を立ち上げる。高齢化で農作業が難しくなった農家から作業を受託したり、農地を借りたりしてコメ生産に着手。離農者からは農地を買い取り自社生産も手がける。同様の取り組みを他県にも広げる。

「農業経営に参画して新たなビジネスモデルをつくる」。三井住友銀の担当者はこう強調する。

これまで銀行は資金需要がある農家や農業参入企業に融資するのが一般的だったが、今回の枠組みでは銀行自身が「生産者」の一角として農地の集約や大規模化を促す。

土地の流動化に伴う不動産売買や、生産効率化に向けた農業機械購入などの設備投資が活発になれば、新たな融資機会を作れる。高齢の離農者向けには相続や事業承継支援などのビジネスにつなげられる。

金融界ではオリックスが2004年にカゴメと共同出資会社をつくり、トマト生産を開始。野村ホールディングスは10年に農業経営のコンサルティング会社を設立し、翌年には出資先でトマト栽培に取り組んでいる。資金力や顧客基盤の厚いメガバンクの参入は、農業市場により大きなインパクトを与える。

企業の資金需要が伸び悩むなか、農業は銀行が注目する分野のひとつ。コメの生産調整(減反)政策の廃止など、政府が規制改革に力を入れ、成長力を高めようとしているからだ。三井住友銀のモデルが軌道に乗れば他行が追随する可能性もある。

すでに鹿児島銀行は16年度中の農業法人設立を表明している。地方銀行の間で一段と農業支援の動きを活発にする効果も期待される。

大手銀の参入は、農業金融の勢力図を塗り替える可能性もある。農林中金総合研究所によると、農業関連の融資残高は15年3月末で約5.1兆円。このうち民間金融機関の占める比率は約15%にとどまり、日本政策金融公庫などの政府系金融機関とJA系による「寡占市場」となっている。

農業は地域性が強く、個別の取引も小口になりがち。大手銀はこれまで農業支援に及び腰だった。だが、農業経営の大規模化に商機を見いだす銀行が増えれば、農業金融の担い手は多様になる。

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