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「物言う生保」存在感 第一生命、議案賛否数を公表

(更新)

「物言わぬ株主」と言われてきた生命保険会社が、株主総会での議決権行使によって投資先への経営関与を強める。第一生命保険は大手生保で初めて、投資先の上場企業の議案にどう賛否を投じたかを公表することを決めた。18兆円もの株式を保有する生保が投資先の剰余金処分などの監視を強めれば、企業に増配などを促すきっかけとなりそうだ。

第一生命は今年の総会で10%弱の議案に反対した(東京都千代田区)

情報開示を強化

「ほかの生保から余計なことをしたと批判されるかもしれないが、上場企業として情報開示を強化する必要があった」。第一生命は月末に今年の株主総会で投資先企業の議案ごとにどう賛否を投じたか初めて公表する。同社幹部はその狙いをそう説明する。

生保が「物言う株主」に転じ始めた契機は、機関投資家の行動規範を定めた「日本版スチュワードシップ・コード」の導入だ。2月に金融庁が指針をまとめ、大手生保が一斉に導入を表明した。

これまでも生保は取締役選任などの議案に賛成するか否認するかの内部基準があったが、議案の賛否数などはほとんど公表していなかった。生保の株式保有は資産運用の面だけでなく、保険商品を投資先に売るための「営業ツール」としての側面もあったためだ。

生保は国内上場企業の発行済み株式の4%にあたる株式を保有し、取締役の選任などで議決権を行使すれば企業への影響は大きい。例えば第一生命は今年から、在任12年を超す監査役の再任には反対票を投じることにした。取締役会のなれ合いを防ぐためだ。

ほかにも経営状態の悪い企業が買収防衛策を導入しようとすれば、これにも反対票を投じる。今年の株主総会では投資先の約2000社の議案のうち10%弱に反対したという。月末にはさらに「取締役の選任」「剰余金の処分案」など議案ごとの賛否数を公表し、企業に経営改善を働きかける。生保は国債利回り低迷で運用実績が伸び悩む。保有株の投資価値を高める必要があるためだ。

日本生命保険なども賛否数の公表まで踏み込まないが、投資先への経営関与にカジを切る。

還元アピール

「前期は株式保有企業の61%が増配や復配をした」。日本生命は今月末に、こんな調査結果を公表する。上場企業全体でみると増配・復配した企業は45%どまり。平均値よりも投資先企業のほうが株主還元の割合が高いとアピールし、機関投資家としての実績を訴える。

もっとも運用実績に厳しい投資顧問は例年10%を超える議案に反対・棄権しており、生保の関与はまだ弱い。金融庁幹部も生保の取り組みを「機関投資家の責任を果たす最低の水準を果たしたにすぎない」とみる。生保は株式を長期保有しており、投資先企業の息の長い成長こそ重要だ。国内生保ならではの新たな投資家像を探っている。

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