公的年金運用、国内債が4割下回る 株増えリスク高まる
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用資産に占める国内債の割合は2015年3月末時点で39.4%と過去最低になった。14年3月末は53.4%だった。債券に比べ価格変動の大きい株式の割合が増えたことで、日本の年金制度にとって「虎の子」である年金積立金が抱える運用リスクは高まった格好だ。
運用益を資産別にみると、国内株が6兆9105億円で最も大きく、外国株が4兆7863億円で続いた。外国債は1兆8884億円で、国内債は1兆5957億円の黒字だった。日銀の追加金融緩和で、14年度の運用環境は株高・債券高・円安という追い風が吹いた結果だ。
積極運用に転換したGPIFの運用資産額は3月末時点で137兆4769億円となり、過去最高となった。公的年金は少子高齢化の影響で、毎年の保険料収入では年金給付がまかなえず、GPIFの積立金を取り崩して支払いに充てる局面に入っている。09~14年度で約28兆2000億円を取り崩した。今のところこれを上回る運用益を稼いでいる。
ただ、株式比率が高まったことで、年金積立金はより大きな運用リスクを抱えた。リーマン・ショックで株価が大幅下落した08年度並みの金融危機が起きた場合、赤字額は30兆円にのぼるとの試算もある。
年金積立金は少子高齢化が進む中でも年金制度を維持する政府の「100年安心プラン」の重要な財源の一つに位置づけられている。運用の巧拙や市場環境が将来の年金給付に響く可能性が高まっている。