FRB副議長、「9月利上げ」言質与えず 中国経済など見極め

2015/8/30付
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【ジャクソンホール(米ワイオミング州)=小竹洋之】米ワイオミング州で開いた米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウムが29日閉幕した。米連邦準備理事会(FRB)のフィッシャー副議長は同日の講演で、9月に利上げを始めるかどうかの言質を与えず、中国経済の情勢などを見極める姿勢に徹した。今週発表する8月の雇用統計も踏まえ、利上げの是非を最終判断する構えだ。

副議長はシンポを欠席したイエレン議長に近く、FRBの方針を代弁したとみられる。9月16~17日に開く次の米連邦公開市場委員会(FOMC)の見通しには触れず「金融政策の正常化を慎重に進める必要がある」と述べるにとどめた。28日に米CNBCテレビのインタビューに応じ、9月の利上げを判断するのは「時期尚早」と語ったのに続き、市場に予断を与えるのを避けた格好だ。

講演では「中国経済の動向と他国経済への影響をいつも以上に注視している」と述べ、中国の景気減速に端を発した金融市場混乱の深度を見極める考えを示した。「FRBが金融引き締めに動けば、他国経済に影響を及ぼすのは十分に認識している」とも語り、利上げの決断に細心の注意を払う方針を表明した。

主要国の中央銀行幹部が参加したシンポでは、中国発の市場の動揺が世界経済に与える打撃は限定的との認識が大勢を占めた。FRBと同じく利上げの時期を探る英中銀イングランド銀行(BOE)のカーニー総裁は「中国の動向が利上げの軌道を変えることにはならない」と言明した。

FRBの執行部もいまのところ、金融政策運営の手足を縛る大きな障害にはならないと判断しているもようだ。米国内では雇用の回復が持続しており、市場の乱高下が収まれば、利上げの環境が整うとみている。

ただ中国のさらなる景気減速や一層のドル高が米経済の腰を折る懸念は拭えない。物価上昇率も前年比2%の目標を下回っており、利上げへのためらいが残るのも事実だ。

実際、FOMCの参加者の間でも、早期利上げを訴えるセントルイス連銀のブラード総裁らと、慎重な対応を求めるミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁らの意見が交錯している。シンポに参加した有識者のうち、米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は9月、アラン・ブラインダー元FRB副議長は12月の公算が大きいと日本経済新聞に語った。

FRBが特に注目しているのは、9月4日に発表する8月の雇用統計だ。市場予測の平均によると、非農業部門の雇用者数は前月に比べ22万人前後増える見通し。ここで雇用回復の底堅さを確認できれば、9月に利上げを決断する可能性も残る。

しかしFRBの意図を十分に織り込ませずに利上げに動けば、市場の混乱に拍車をかける恐れもある。もう少し様子をみて、適切な時期を探るとの見方が広がっている。

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