2018年10月20日(土)

TPP、農産品への影響「限定的」 農水省が分析

2015/10/30 0:34
保存
共有
印刷
その他

農林水産省は29日、環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け、農産品21品目の影響分析の結果を公表した。聖域として交渉したコメや小麦は「輸入の増大は見込みにくい」と説明、関税撤廃となる野菜や果物の輸入増も「限定的」とした。ただコメやミカンなどは価格下落の可能性があるとも指摘。政府は11月下旬にまとめるTPP対策で農業の競争力強化を目指す。

農水省は29日、農産品の分析結果を自民党の農林関係会合に示した。自民党は同日、TPP総合対策実行本部の初会合を開き、国内農業対策などの検討を始めた。

農水省はコメについて、政府が管理する貿易制度以外の「輸入増加は見込みがたい」と判断。日本はTPPで、米国とオーストラリアに政府管理の下で年7万8400トンの無税の輸入枠を新設するが、原則として1キログラムあたり341円の関税をかける現行制度を維持する。このため輸入枠外は想定していない。

ただ米豪産のコメが流入してくることで、国内流通量が増えて「国産米全体の価格水準が下落することも懸念される」との見解を示した。政府は、輸入した分と同じ量のコメを農家から買い上げて備蓄米にする検討を進める。

TPP総合対策実行本部の初会合であいさつする甘利経財相(29日午前、自民党本部)

TPP総合対策実行本部の初会合であいさつする甘利経財相(29日午前、自民党本部)

小麦もコメと同様、政府管理の貿易制度を続ける。米国、カナダ、オーストラリアに輸入枠を設けるが「輸入品の一部が置き換わるだけで、国産小麦に置き換わるものではない」と、全体の輸入量は増えないと分析した。

果物ではオレンジは16~32%の関税を段階的に削減し、8年目に撤廃する。競合する可能性がある国産ミカンへの影響は「味や食べやすさなどの点で差別化が図られている」とした。リンゴやサクランボ、ブドウも輸入品より品質が高くすみ分けができており「影響は限定的」と分析した。

宮城大学の大泉一貫名誉教授も「果物や野菜の多くは季節や価格帯ですみ分けができているため、影響はほとんどないだろう」と指摘した。一方でミカンを生産する静岡県の農家は「正直、関税撤廃の影響はあると思う。品質の高いミカンを作るしかない」と話す。国内生産者の競争力が高まれば、消費者にとっては一段と割安になる海外産と、より高品質の国産品など選択肢が広がることになる。

自民党の会合では出席議員から「すぐに影響がないといっても、10年後、15年後にはどうなるのか」との意見が出た。小泉進次郎・農林部会長は記者団に「日本の農業のあるべき姿をしっかりと議論して詰めていきたい」と語った。

政府や自民党は生産性を高めるために農地集約を進めたり、高品質化で安い輸入品との差別化を図るために、新しい品種への植え替え支援などを検討している。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報