フィリピンに海自練習機貸与で協議 政府が防衛装備品協定
政府は4月にもフィリピン政府と海上自衛隊の練習機TC90の貸与に向けた協議に入る。29日、前提となる防衛装備品の移転や技術協力に関する協定に同国政府と署名した。海上自衛官を派遣し、フィリピン海軍に整備方法を研修することも検討する。海洋の監視に必要な哨戒機が不十分なフィリピンを支援し、南シナ海での中国の動きをけん制する。
海上自衛隊が18機保有するTC90のうち最大5機を貸与する。徳島航空基地での練習に使っており、レーダーなどは搭載していない。行動範囲は半径700~800キロメートルとされ、フィリピン海軍が持つ現行の航空機に比べると2倍以上に拡大する。フィリピンが中国と領有権を争う南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の警戒・監視に利用できる。
石川和秀駐フィリピン大使とガズミン国防相は29日、マニラで防衛装備品移転に関する協定に署名した。防衛装備品の移転の前提になる協定で、日本が東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国と結ぶのは初めて。TC90の貸与に向けた協議入りを確認するため、中谷元・防衛相が4月下旬からの大型連休中にフィリピンを訪問することを検討している。