2019年6月24日(月)

首相「賃上げ継続を」 業績に格差、企業と思惑ズレ
政労使会議

2014/9/29付
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政府、企業、労働組合の代表が参加する「経済の好循環実現に向けた政労使会議」が29日、再開した。安倍晋三首相は「生産性向上や収益拡大を賃金上昇や雇用拡大につなげていくことが重要だ」と語り、2年連続の賃上げを要請した。賃上げは脱デフレの鍵を握るものの、足元の景気はもたつく。収益低下に直面する企業も少なくない。政労使は脱デフレが重要との認識では一致するが、賃上げ継続を巡る思惑はズレが目立つ。

政労使会議であいさつする安倍首相(29日、首相官邸)

政労使会議であいさつする安倍首相(29日、首相官邸)

「昨年の政労使会議を踏まえ多くの経営者の協力をいただき、賃上げは過去15年間で最高水準になった」。安倍首相は29日の会合でこう語った。

昨年9月に政府主導で作った政労使会議は年末に「賃金上昇が必要」との共同合意文書を作った。企業収益の急回復に政府の要請が重なり、定期昇給とベアを合わせた今春の賃上げ額の平均は5928円、引き上げ率は2.07%となった。2%台になるのは1999年以来だった。

労使交渉で決めるべき賃金に政府が異例の介入を継続するのは、賃金の伸びが物価上昇に追いついていない現状がある。8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.1%上昇した。消費増税の影響を除いても1.1%上がっている。

一方、所定内賃金の伸びは7月時点で0.3%上昇にとどまる。ボーナスを含む総額でも2.4%上昇だ。物価の影響を除いた実質賃金が下がっている働き手は多い。来秋の消費再増税をにらむ安倍政権にとって、賃上げ継続は景気下支えに不可欠だ。

企業の経営状態は一様ではない。トヨタ自動車が4~6月期に最高益を更新する一方で内需企業の代表格であるイオンは3~5月期の連結純利益が前年同期比90%減と大きく落ち込んだ。

大企業と中小企業の間でも業績の格差が開いている。全国中小企業団体中央会の鶴田欣也会長は「今年の賃上げは相当がんばったが、原材料価格の転嫁は容易ではない」と強調した。円安によるコスト高と人手不足による賃金高止まりで、苦境に立つ経営者もいる。

安倍政権は来年度からの法人実効税率引き下げを視野に入れる。2%下げれば企業の負担は1兆円減る計算で、政府首脳は「賃上げの原資に回してほしい」とする。だが、政策減税の打ち切りや外形標準課税の拡大に伴う企業の負担増もある。榊原定征経団連会長は「賃金をあげられるような環境づくりをしてほしい」とクギを刺した。

昨年の政労使会議では、経営側に賃上げを求める政府に労組が同調。政労が連携する異例の展開となった。だが、今年は政労の思惑もずれが広がっている。

安倍首相は「子育て世代の処遇を改善するためにも、年功序列の賃金体系を見直すのが大切だ」と述べ、成果を重視した賃金体系への移行が重要と語った。しかし自動車総連の相原康伸会長は「賃金構造、賃金カーブは労使で作り込んできたものだ」と反論した。

会議は今後毎月1回開き、12月に合意文書をまとめる。脱デフレで足並みをそろえる政労使が、昨年と同じように「賃金上昇が必要」との文言で合意できるかが焦点になる。

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