安全保障関連法案を巡り、自民、公明両党は28日、野党との修正協議を始めた。まず協議した日本を元気にする会など野党3党とは国会関与の強化が焦点になる見通し。並行して維新の党とも対案を巡る協議に入った。9月中旬の法案採決をめざし、円満な採決環境を整えたい与党は修正協議の落としどころを探る。
28日午後、国会内の一室に自公両党と元気、次世代の党、新党改革の野党3党の実務者が集まった。「この5党で一致できれば、国会で大きな勢力になります」。野党側の出席者の一人は修正案の内容の説明をひととおり終えると、こう呼びかけた。与党は「真摯に受け止める」と応じ、週明けに政策担当者の協議を始めることを確認した。
3党の修正案は、自衛隊の海外派遣で国会の関与を強めることを重視する。(1)例外なく事前承認とする(2)派遣後、一定期間ごとに再承認を義務づけ(3)活動状況を監視・事後検証する――が柱だ。公明党は法案作成過程で国会の関与を強めるよう自民党に働きかけた経緯があり、3党の修正案に理解を示す向きもある。
ただ例外なき事前承認はハードルが高い。協議で与党側は「日本有事に関わる場合には例外的に事後承認を認めないと、対応できない」と指摘した。それ以外の項目で接点を探る可能性がある。
与党は同日、維新との協議も再開した。維新案は政府案の骨格である集団的自衛権の行使を認めていない。自民党の高村正彦副総裁は「距離があるのははっきりしている。どこまで歩み寄れるかだ」と述べた。ただ与党側には分裂状態に陥っている維新に、協議相手として信頼に足るのかとの疑念がくすぶる。
衆院採決前の修正協議でも、維新側の関係者が党内の了解を得ないまま修正案を与党に示し、混乱を招いて協議が不調に終わる遠因になった。
参院で採決されなくても衆院で再可決できる「60日ルール」が適用可能となるのは9月14日だ。それより前の採決をめざす与党に残された時間は多くない。修正合意にこぎ着けても、法案を再び衆院で可決する必要もある。修正協議の出席者はこう語る。「(期限を考えると)来週後半がヤマ場になるだろう」