冷凍牛肉の緊急輸入制限を発表 財務相、8月から
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麻生太郎財務相は28日の閣議後の記者会見で、米国産などの冷凍の輸入牛肉に対してセーフガード(緊急輸入制限)を8月1日から発動すると発表した。現在38.5%の関税率が来年3月末まで50%に上がる。輸入増加に歯止めをかけて国内の農家を守るためだが、冷凍の輸入肉は外食産業で幅広く使われており、消費への影響は避けられない。
牛肉のセーフガードは輸入量が前年度四半期の117%を超えた場合に自動的に関税を引き上げる仕組み。発動は約14年ぶり4回目となる。麻生財務相は「粛々と執行していく」と語った。米国側の反発が予想されることには「(今秋にも開く)日米経済対話などを活用して議論することになる」と述べた。
山本有二農相は閣議後の記者会見で「(制限対象は)輸入牛肉全体の2割にとどまる。消費者への影響は限定的と考えている」と語った。
日本と経済連携協定(EPA)を締結済みのオーストラリアなどを除く国が関税上げの対象となる。日本市場で豪州とシェアを二分する米国がもっとも影響を受ける。
豪州産牛肉が干ばつの影響で高値推移したことなどから、長期保存がきく米国産の冷凍肉を買いつける動きが加速。今年4~6月の冷凍牛肉の輸入量がセーフガードの発動基準を上回った。
2003年には米国の制止要請を振り切ってセーフガードを発動した経緯がある。