首相・野田氏、因縁の対決 消費税と4年前の約束

2016/9/27 22:37
共有
保存
印刷
その他

 臨時国会の衆院代表質問は27日、安倍晋三首相と民進党の野田佳彦幹事長(前首相)の因縁の対決で始まった。首相だった野田氏が野党・自民党の安倍総裁にサプライズで衆院解散を表明し、政治が大きく動いた2012年11月の党首討論からほぼ4年。この日は攻守を替えて消費増税や金融緩和、環太平洋経済連携協定(TPP)などで再び火花を散らした。

 午後1時すぎ、衆院本会議場の演壇に野田氏が登壇すると、首相は軽く会釈した。本会議場では首相は質問者の右後方に座るため、質問者の目に入らない。野田氏は時折右後方に目をやるが、首相は質問や答弁の書類に目を落としたまま。その首相がおもむろに胸ポケットからペンを取り出したのが、野田氏が消費税に触れた時だった。

民進党の野田幹事長(手前)の代表質問を聞く安倍首相(27日午後、衆院本会議)
画像の拡大

民進党の野田幹事長(手前)の代表質問を聞く安倍首相(27日午後、衆院本会議)

 「私が政治生命をかけて取り組んできた3党合意も風前のともしびになってしまった。消費税を政争の具にしないという精神が失われた」。14年秋に消費増税延期を決め衆院解散に踏み切った首相を野田氏がこうなじると、首相は書類に何ごとかペンを走らせた。

 野田氏は財務相を経験した増税論者で、12年に民主、自民、公明3党が消費増税で合意したときの当事者。与党の民主党が参院で過半数に満たない「逆転国会」の下で「決められない政治」が常態化するなかで、3党合意はそれを克服する政治の知恵とも呼ばれた。それを首相は踏みにじったとの批判だ。

 しかし野田氏の追及は迫力を欠く。今年6月に首相が再び消費増税を延期したときは容認したからだ。「アベノミクス失敗により、消費増税の再延期はやむを得ない状況になってしまった」と説明し、先送りした19年10月に必ず増税するのか問うことはしなかった。

 それでも4年前の党首討論での「約束」には触れた。当時、野田氏は安倍氏が求めた早期解散に応じる条件として、消費増税に国民の理解を得るため、衆院議員の定数削減の実現を求めた。政権を取った首相は今年、定数をまず10削減する法改正を進めたが、野田氏は「トゥーリトル・トゥーレイト(小さすぎて遅すぎる)だ」と指摘した。

 代表質問は質問者が一通り質問した後、政府側がまとめて答える一方通行方式。首相が答弁する際は質問者は議場後方の自席に戻って聞くため、首相は野田氏の方を向いて話すことができる。この日の首相は体調が思わしくない様子で、下を向いて紙を読み上げる場面が多かったが、定数削減のくだりに至ると野田氏の方に顔を向けた。

 「政治の責任とは何か。それは実現させることだ。言葉をいくら重ねても、いくら重ねても、ゼロはゼロ。それでは政治への信頼は失われる」。野田氏への皮肉を込めた話しぶりで、自民党席から拍手がわいた。

 野田氏が19年10月の消費増税を問わなかったことから、首相が3年後、確実に増税するかどうかに言及する場面はなかった。しかし、20年の東京五輪までの長期政権が視野に入ってくれば、19年10月の消費増税が再び関門になる。その時に再び延期がありうるのか。

 野田氏はそれを見越すかのようにこう語った。「次の世代より次の選挙を重視する姿勢は、後世で厳しく糾弾されることになるでしょう。そのことを警告しておきます」(斉藤徹弥)

共有
保存
印刷
その他

電子版トップ

関連キーワードで検索

政府野田佳彦安倍晋三首相代表質問衆議院自民党民進党

【PR】

【PR】

主要ジャンル速報

北海道 23日 7:01
23日 7:00
東北 23日 7:00
23日 7:00
関東 23日 7:01
23日 7:00
東京 23日 7:01
23日 7:00
信越 23日 7:00
23日 7:00
東海 23日 21:30
23日 7:05
北陸 23日 6:32
23日 6:25
関西 23日 6:32
23日 6:25
中国 23日 7:01
23日 7:01
四国 23日 7:02
23日 7:01
九州
沖縄
23日 22:40
23日 14:57

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報