企業の営業秘密漏洩、厳罰化を大筋了承 経産省分科会

2014/11/27付
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経済産業省は27日、企業の営業秘密を漏洩したときの罰則を厳しくする方針を正式に示した。同日の知的財産分科会で、有識者から大筋の了承を得た。最近はIT(情報技術)の進展にともなって秘密情報が漏れやすくなっている。日本企業が世界的な市場シェアを奪われるケースもあり、産業の国際競争力を守るため改革に乗り出す。

経産省が来年の通常国会で不正競争防止法の改正案に盛り込む見通しだ。

「日本には国家利益の侵害という観点は全くといっていいほどない」。新日鉄住金の実原幾雄・知的財産部長は27日の分科会でこう訴えた。同社は電力会社などが使う特殊な鋼板の製造技術が盗まれ、韓国鉄鋼大手ポスコに約1000億円の損害賠償を求めている。技術は中国・宝山鋼鉄にも流出したが、これまでの日本の制度では抑止力が働きづらかったという。

営業秘密を守る日本の不正競争防止法は、米国の経済スパイ法などと比べて処罰する対象が狭いといわれる。欧米や韓国では、秘密を盗もうとした場合、実際に盗むことに失敗しても罰金など刑事罰を科す。日本では実際に盗んだ場合のみ罰しており、産業スパイにとってはひとまず秘密の管理場所に侵入して反応を探るなど、活動しやすい要因になっている。

経産省は営業秘密の侵害に「未遂罪」を導入することを示した。企業法務の専門家が集まる経営法友会の斎藤憲道評議員が「実際の犯罪にいたる過程の証拠収集に役立つ」と述べるなど、有識者からは受け入れる意見が目立った。

罰金も引き上げる方針だ。個人への罰金は現在の上限1000万円を法改正によって5倍以上に引き上げることを検討している。盗んだ秘密を不正利用した企業に科す罰金は上限を現在の3億円の2倍以上に引き上げる。

罰金を科すとき、外国政府のように「不当に得た利益を没収する」との規定も盛り込むかどうかも検討する。京都大学大学院の高山佳奈子教授は「欧州の独占禁止法のように、不正利益の数倍を没収する制度のほうが抑止力が働く」と指摘した。

海外に営業秘密を漏洩した個人に対する懲役刑を現在の最長10年より長くしたり、海外で日本企業の秘密を侵害した製品の輸入を止める制度なども検討する。被害を受けた企業が告訴しなくても刑事訴訟の手続きができるよう「非親告罪」も導入する。

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