商法すべてひらがなに 法制審、運送・海商法の改正要綱案
法制審議会(法相の諮問機関)は27日の部会で、国内運送ルールを現代の業務の実態に合わせるため商法の運送・海商法の改正要綱案を決定した。荷物に爆発の恐れがある危険物が含まれる場合、荷主側に通知義務を課す規定を設けるなど、争いを防ぐため運送人と荷主の責任を明確にする。カタカナ文語体の条文をひらがな口語体に改め、これにより商法は全分野がひらがな口語体になる。
2月に岩城光英法相に答申する。運送・海商法は1899年の制定以来、ほとんど見直されていない。制定当時は飛行機がないため規定がなかった航空運送に関する項目も設ける。飛行機やトラック、船を組み合わせる「複合運送」で荷物をなくした場合のルールも加える。
危険物の輸送は現行制度でも、国土交通省が定める約款により荷主に通知を求めているが、関係業者に安全な運送をさらに徹底させるため商法に規定して責任を明確化する。通知なく損害が発生した場合、運送業者は荷主に損害賠償を請求できるとする。ただし、商社などメーカー以外が荷主となり、中身の危険性を把握せず荷物を送った場合は荷主は責任を負わない。
海上運送中の爆発事故を巡っては2004年に地中海で発生したコンテナ船内での火災事故など、荷主の責任を巡り日本企業が絡む訴訟に発展したケースがある。
今回の改正は国際的なルールにあわせる側面もある。現行では運送業者が物を壊した場合、損傷を知らなければ1年たつと責任が消滅するが、損傷を知っていると5年間は責任に問われると規定される。改正案では知っていたかは関係なく国際標準の「1年」に統一。引き渡しから1年後に損傷を知っていたはずだと言われないようにし、運送業者のリスクを低減する。