2018年12月12日(水)

相続、配偶者に手厚く 16年にも民法改正

2015/2/25付
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上川陽子法相は24日の法制審議会(法相の諮問機関)総会で、配偶者の遺産相続を手厚くする民法見直しを諮問した。遺産分割が終わるまで自宅に住めるようにする措置を検討。夫婦が協力してつくった財産については配偶者の取り分を増やす仕組みを採り入れる。1年程度をかけて答申をまとめ、早ければ2016年の通常国会に民法改正案が提出される見通しだ。(関連記事4面に)

配偶者の相続に関する民法改正は、1980年に遺言がない場合の法定相続分を3分の1から2分の1に引き上げて以来だ。高齢化が進み、遺産相続を巡るトラブルが増えるとみられることから、相続分野の民法改正が必要と判断した。

ポイントの一つは、住み慣れた家にいられる居住権の保障だ。自宅に住み続けるためには所有権を取得するか、所有権を取得した人と賃貸契約を結ばなければならない。トラブルが生じ、お年寄りの配偶者が自宅からの退去を迫られるケースがあるという。

だれが自宅を相続したかにかかわらず、配偶者が住み慣れた家で暮らせる仕組みにする。遺産分割が終わるまでの間や、1年など一定期間、無償で住めるようにする。短期ではなく、長期にわたる居住権を保障すべきだという意見もある。

相続分そのものを増やす検討も進める。

夫婦が協力してつくった財産については「実質的夫婦共有財産」として切り分けてから、残りの遺産を他の相続人と分割する考え方が有力。離婚の際の財産分与と同じイメージだ。共有財産以外の取り分は通常の法定相続分より減らす。

高齢になってから結婚しても、財産の維持・形成に貢献していないとみられても、いまの法定相続分は同じだ。婚姻の実態に応じた遺産分割を想定しておらず不公平との指摘があった。

介護の貢献を相続に反映することも課題になる。対象は配偶者だけではない。たとえば、子どもが複数いた場合、遺言がなくても、介護を懸命にした子どもの寄与分を認め、相続分に反映させる。いまの民法でも、財産形成などに特別の寄与があれば相続分が加算される。ただ、介護は反映されにくい。

司法統計によると、13年に全国の家庭裁判所で調停が成立するなどした遺産分割事件は約1万2千件。10年で約3千件増えた。急速な高齢化が進めば、さらに拍車がかかる可能性がある。

相続財産は「5千万円以下」が7割。配偶者や子供など遺産分割に関わる当事者の数は「5人以上」が3割超だ。巨額の財産でなくても多くの当事者間で争われることが珍しくない。介護問題などが絡んで感情的な争いになることもあり、遺産分割を巡る審理は複雑になりがちだ。

13年9月、最高裁判所は結婚していない男女間の婚外子の遺産相続分を法律婚の子(嫡出子)の半分とする民法の規定を違憲と判断。これを受けて同年12月、規定を削除する改正法が成立した。

この議論を通じて、自民党内には「法律婚を保護すべきだ」という意見が強まった。家族制度を重視する観点から、相続に関する民法改正の検討を後押ししている。

▼民法 1896年(明治29年)に制定された日本の法体系の中心に位置する法律。「総則」、所有権など人と物のルールを示す「物権」、契約など人と人のルールを定める「債権」、婚姻や親子関係を定める「親族」、相続権や遺言にかかわる「相続」の計5編からなる。今国会では債権分野の初の抜本改正が予定されている。

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