首相「米抜きTPP、意味ない」 トランプ氏翻意期待
【ブエノスアイレス=地曳航也】アルゼンチン訪問中の安倍晋三首相は21日夜(日本時間22日午前)、ブエノスアイレス市内で記者会見し、環太平洋経済連携協定(TPP)について「米国抜きでは意味がない。再交渉が不可能であると同様、根本的な利益のバランスが崩れてしまう」と指摘した。TPP脱退を掲げるトランプ次期米大統領の翻意に期待感を示したものだ。

首相は「(19日のペルーでの)TPP首脳会合ではTPPの高い戦略的、経済的価値が改めて確認された。米大統領選後の状況を受けて国内手続きを遅らせたり、やめようという国は一国もなかった」と力説。「あらゆる機会を捉えて他の署名国に国内手続きの早期の完了を働きかけていく」とも強調した。
北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結交渉に関しては「プーチン大統領と信頼関係がなければ解決しない。一歩一歩着実に進めたい」と指摘。「日本とロシア双方にとってウィンウィンの形で進めていくことが何よりも重要」としたうえで「経済も含めて日ロ関係全体を双方が裨益(ひえき)する形で発展させていく中で平和条約交渉の前進を図っていくことが必要だ」と述べた。
北方領土問題を巡っては「従来の政府の立場を何ら変えていない」と述べ、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する基本方針を堅持する意向を示した。