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「年金機構、調査に非協力的」 情報流出で検証委批判

日本年金機構の個人情報流出問題の検証委員会報告を受け、塩崎恭久厚労相は21日、機構に「抜本的な見直し」を求めた。検証委の調査では、機構が資料の提出を遅らせるなど抵抗があったことを明らかにしている。厚労省も4月22日に受けたサイバー攻撃をこれまで公表しておらず、国民の老後を支える公的年金制度を担う2組織の信頼回復は遠い。

日本年金機構の個人情報流出問題で塩崎厚労相に報告書を提出後、記者会見する第三者検証委員会の甲斐中辰夫委員長(21日午後、厚労省)=共同

「国民に多大な心配をかけながら、そういった態度は論外だ」

検証委の甲斐中辰夫委員長は21日の記者会見で強い口調で機構を批判した。調査の過程で検証委への資料提供を遅らせたり、墨塗りしたりするなど非協力的な態度があったという。「資料を出さず、隠蔽体質だ」。調査に関わったある関係者は取材にこう答えている。

検証委は機構が個人情報の流出を発表した3日後の6月4日に発足した。情報セキュリティーやガバナンス(統治)の専門家ら6人の委員で構成し、約2カ月半かけて機構や厚労省の関係者ら延べ78人に聞き取り調査してきた。機構と厚労省の情報共有が進んでいれば、流出を防ぐことができた可能性を指摘した。

「不祥事やコンプライアンス(法令順守)違反を起こす組織は似ている。一体感なく、職員に使命感がない。年金機構にもそういうものを感じた」

過去にオリンパスの粉飾決算事件の第三者委委員長などを務めた甲斐中委員長はこうも語った。

ただ、検証委の報告書では機構のガバナンス問題にはほとんど踏み込まなかった。厚労省や旧社会保険庁、民間など出身の異なる職員で構成する機構の組織を問題視する声は盛りこまれていない。

機構に求めた再発防止策は(1)セキュリティー対策本部の設立(2)個人情報の一元管理(3)教育訓練の徹底(4)外部監査の実施――などシステムに関するものが大半だ。

「125万件のことは直接的に調べていない」

機構を厳しく指弾した甲斐中委員長だが、機構が前日公表した調査報告書で残った疑問に対して問われると歯切れが悪かった。機構の報告書は「125万件以上の流出は確認できなかった」としたが、最終的な流出規模は不透明なままだ。

当初、中間報告だったはずの今回の発表は最終報告になるという。真相や責任の所在が明らかにされないままでは、2016年から始まる社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度への信頼も揺るがしかねない。

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