診療報酬の16年度改定へ議論開始 社会保障費1700億円抑制へ

2015/10/21付
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診療報酬の2016年度改定に向けた議論が21日始まった。厚生労働省は同日、大病院前に並ぶ「門前薬局」の報酬や、割安な後発医薬品(ジェネリック)の単価を一段と下げる方針を示した。一方、医師の過剰な投薬を点検する「かかりつけ薬局」の報酬は積み増し、医療費の抑制につなげたい考えだ。財務省は社会保障費の伸びを1700億円分抑える方針で、診療報酬もマイナス改定が視野に入る。

厚労省は21日の社会保障審議会医療保険部会に論点案を示した。12月初旬までに診療報酬改定の基本方針をまとめる。年末までに財務省と調整して診療報酬全体の改定率を決め、年明けに項目ごとの報酬を決める。

厚労省が報酬の引き下げを明確に打ち出したのが、1つの病院の処方箋に頼ってもうける門前薬局だ。厚労省は薬局に対して医師の過剰・重複投薬をチェックする役割を期待している。しかし門前薬局は「病院からの処方箋を口を開けて待っているだけ」(幹部)とみている。

一方で、複数の病院の処方箋を持ち込む「かかりつけ薬局」の報酬は引き上げる。患者の身近な相談相手になり、薬の飲み残しや危険な飲み合わせを確認する。24時間の対応や患者宅への訪問などが条件になりそうだ。患者の幅広い病気に対応する「かかりつけ医」の報酬も優遇を検討する。

診療報酬は薬の単価も決めている。来年度改定では、特許が切れた新薬の成分でつくる後発薬の単価を下げる見通しだ。厚労省はすでに20年度までに後発薬の普及率を80%に上げることを決めている。普及の促進と並行して価格も下げて医療費を抑える。

財務省は湿布などの市販品類似薬を保険の対象から外すなどさらなる効率化を求めており、診療報酬全体でマイナス改定を要求する方針だ。医療費の総額は年に約40兆円で、うち約10兆円が国の負担。診療報酬を1%下げれば国の負担を約1000億円抑えることができる。

ただ横倉義武日本医師会会長は21日、「負担能力のある人の保険料を増やせばある程度の財源を確保できる」と述べ、診療報酬の大幅な引き下げをけん制した。年末にかけて首相官邸や与党、業界団体を含めたかけひきが激しくなりそうだ。

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