国保財政安定へ関連法案提示 厚労省、都道府県へ移管が柱
厚生労働省は20日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会に、医療保険制度改革の関連法案を示した。国民健康保険(国保)の運営をいまの市町村から都道府県へと移し、大企業健保の負担増による支援で国保の財政を安定させるのが柱だ。医療費の伸びを抑えるため、都道府県が目標を立て、病気の予防に取り組む。3月3日の閣議決定を目指す。
国保は、運営する市町村によっては財政規模が小さく、高齢化での支出増がより重くのしかかる。加入者の所得も低く、赤字を出して税金で穴埋めする市町村も多い。
そこで2018年度から国保の運営を都道府県に移し、財政基盤を広げる。保険料は市町村が徴収し、実績により保険料を安くできる仕組みとする。財政支援も広げ、17年度から公費3400億円を毎年投じる。財源の半分は、所得の高い大企業健保や公務員の共済組合の負担増で捻出する。
都道府県には国保を移すだけでなく、医療費の抑制も主導してもらう。割安な後発医薬品の普及などを進める期間6年の計画のなかに、医療費の目標を盛り込む。費用が目標を上回った場合の対策は、努力義務とする。
健保に対しては、医療費の請求や健診のデータを分析し効果的な病気の予防に取り組むよう促す。実績に応じて、健保の高齢者医療支援金の負担を最大10%減らせる仕組みを取り入れる方針だ。
医療保険部会では法案への異論はほとんど出なかった。厚労省は与党との調整や閣議決定を経て、今国会に法案を出す。成立すれば大企業健保の負担増などは4月1日からの施行とし、その他の項目も18年4月の国保移管までに順次施行する。