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日本の対中投資25%減 15年、景気減速・人件費高騰で

【北京=阿部哲也】中国商務省は20日、2015年の日本の対中投資額(実行ベース、金融除く)が前年に比べ25.2%減り、32億1千万ドル(約3800億円)になったと発表した。マイナスは3年連続だ。日中関係は改善に向かっているが、中国の景気減速や人件費の高騰を背景に日本企業の「中国離れ」に歯止めはかかっていない。

15年の世界全体の対中投資額は前年に比べ6.4%増えた。対照的に、日本の中国向け投資はピークをつけた12年の半分以下に減っている。

拡大が続いていた日本の対中投資が減少に転じたきっかけは、沖縄県の尖閣諸島をめぐって日中関係が悪化したことだ。政治リスクを警戒した日本企業は対中投資に二の足を踏むようになり、14年には減少率が38.8%と過去最大を記録した。

14年11月に安倍晋三首相と中国の習近平国家主席の会談が実現してから、日中関係は改善傾向にある。にもかかわらず日本企業の対中投資が減り続けているのは、ここにきて新たに3つの悪材料が重なったためだ。

ホンダは中国の景気減速を受けて、新たな対中投資を見送った

第1は中国経済の減速だ。15年の実質国内総生産(GDP)成長率は6.9%と、25年ぶりの低い水準に減速した。先行き不安は新車販売市場などにも波及し、ホンダは年内に湖北省武漢市で計画していた新工場の建設を見送った。

第2は中国の沿海部を中心とする人件費の上昇だ。北京や上海、広州などの主要都市では人件費がここ5年で約2倍に跳ね上がった。土地の使用料や環境対策費など工場増設にかかるコストも全般に上昇傾向にある。

中国の安価な労働力に引かれて進出した日本企業の間では戦略の見直しが相次ぐ。ダイキン工業は家庭用エアコンの中国での生産量を今年度は2割減らし、代わりに国内で増産する方針だ。中国の製造拠点を東南アジアなどに振り向ける動きも活発になっている。

第3は中国政府の産業政策の変化だ。経済成長を優先した胡錦濤前政権の時代までは、GDPの押し上げ効果が大きい製造業を中心に外資への優遇策が充実していた。しかし「産業の高度化」を掲げる習近平政権が発足して以降、優遇分野を先端技術やサービス業に急速に絞り始めた。

このため「従来のような労働集約型の単純なモノづくりは難しくなった」(電機大手)。日東電工は15年に山東省青島で農業や環境技術を研究する中国初の研究開発センターを開所した。ファーストリテイリングは「ユニクロ」を年100店ペースで出店を続ける。だが、いずれも従来のような工場新設ほど投資額は大きくなく、全体を底上げする勢いはない。

一方、対中投資で積極姿勢を見せるのが東南アジアと欧州だ。東南アジア諸国連合(ASEAN)からの投資は15年に22.1%増え、欧州連合(EU)からも4.6%増えた。消費市場の拡大を見込んで、サービス業の投資が活発だった。国や地域による中国での事業戦略の違いが目立つようになっている。

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