消費増税、賛成派が多数に 有識者の点検会合終わる

2014/11/18付
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政府は18日、消費税率を予定通り来年10月に10%に引き上げるべきかの是非を巡り、有識者に意見を聞く点検会合を首相官邸で開いた。同日は全5回を予定していた会合の最終日で、出席者9人のうち予定通りの引き上げに7人が賛成した。全5回を通じては賛成の意見が増税の延期・反対を上回った。安倍晋三首相の判断に注目が集まる。

「今後の経済財政動向等についての点検会合」であいさつする甘利経財相(右から2人目)。右端は黒田日銀総裁(18日午前、首相官邸)

「今後の経済財政動向等についての点検会合」であいさつする甘利経財相(右から2人目)。右端は黒田日銀総裁(18日午前、首相官邸)

点検会合の後、記者団の取材に応じた有識者の発言要旨は以下のとおり(○は予定通り実行、×は延期・増税反対など、△はその他)

▼池史彦・日本自動車工業会会長〔○〕

長い目で見て社会保障や財政再建のためにやるしかない。自動車の販売に消費増税の影響はある。足元がつらいのは事実だが乗り越えてこそ本当の成長がある。2020年に向けて今、仕込みをしている。自動車業界は魅力ある商品を提供し、ものづくりを支える技術を生み出す。

▼金丸恭文・フューチャーアーキテクト会長兼社長〔○〕

7~9月期の国内総生産(GDP)速報値が前期比年率で1.6%減だったことはそれほど悲観的に考える必要はなく、消費税率は予定通り引き上げてもよい。増税時期を先送りしなくても短期的な効果のある政策を打てば足元の課題への対応は可能だ。

消費が低迷している要因の一つは、インターネットサイトを比較しながら安い商品を買う若い世代の「賢いショッピング」に企業サイドが負け続けているためだ。アベノミクスの失敗とするのは間違いだと思う。

▼関根近子・資生堂執行役員常務〔○〕

女性の活躍推進など成長戦略を進め、生活必需品への軽減税率を適用することなどを条件に予定通り上げるべきだ。将来にツケを先送りしないことが私たちの使命だ。消費の落ち込みをカバーするため、消費者の求める価値を提供する企業努力も必要になる。

▼武田洋子・三菱総合研究所チーフエコノミスト〔○〕

消費増税による景気悪化のリスクと、増税を延期することで財政の信認が崩れた場合に生じるリスクをてんびんにかけた場合、後者の方が前者よりも影響が大きい。確率は小さいが、財政の信認が崩れ長期金利が急上昇するようなことが生じると手立てを講じることはなかなか難しい。

アベノミクスはこれまで順調にきていると思う。7~9月期の数字は弱かったが、もう少し長い目でみるとGDPの水準はアベノミクスが始まる前よりも高い。(増税を)遅らせれば遅らせるほど、将来世代へのツケがさらに膨れてしまうのではないか。

▼中村豊明・経団連税制委員会企画部会長〔△〕

景気は足踏みしているが、無期限に増税時期をずらすのは財政に対する海外の不安感が出るほか、個人の消費も減る。増税時期を決めて、その間に消費や投資が活発になる施策をセットで打つことが大事だ。(経済対策は)成長戦略の一環としてやるべき話で、内容によって(増税時期を)判断していくことになる。

▼樋口武男・住宅生産団体連合会会長〔○〕

日本の財政赤字と社会保障の問題を考えると消費増税はやらなければいけない。増税するならば住宅に軽減税率を採用してほしい。住宅ローン金利の引き下げ、エコポイントの復活など住宅市場対策を実施するのであれば、来年10月の10%への引き上げには賛成。

▼本田悦朗・内閣官房参与〔×〕

アベノミクス効果と4月の増税効果がせめぎ合っている状態。今はデフレを脱却する千載一遇のチャンスでできる限り確実に実現する意味でも来年10月の消費増税は危険である。4月の増税前から実質賃金はマイナスだった。そこに消費税率の5%から8%への引き上げが加わってますます実質賃金のマイナス幅が深くなり、我々が想定したよりもはるかに消費が落ちてしまった。

▼山本明弘・全国中小企業団体中央会副会長〔○〕

このチャンスを逃すべきではない。7~9月期のGDPは悪かったが、今やらないと3年後、5年後が非常に心配だ。地方で深刻なのは労働者不足で、とにかく少子化対策を徹底的にやる必要がある。極論だが、赤字国債を出してでも子育て支援をやるべきだ。景気対策では中小零細企業に資金を提供していくことで日本を再活性化する。

▼吉川洋・東大教授〔○〕

消費増税は予定通り来年10月に実施すべきだ。1年半でも先送りすれば、必要な社会保障のツケを将来世代に回すことになる。想定していた税収が入らない分を国債などで補えば、今後の負担が増えることになる。景気が心配といっても、今ぐらいの一進一退の景気の状況は将来いくらでも起こる。

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