商法、120年ぶり見直し 航空運送に初適用 - 日本経済新聞
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商法、120年ぶり見直し 航空運送に初適用

改正案を閣議決定

政府は18日の閣議で、明治時代の施行時から見直されていない商法の運送業に関する規定を約120年ぶりに見直す改正案を決定した。施行時になかった航空運送を初めて明記し、飛行機を使った物流サービスの損害賠償ルールなどを明確にする。運送業者らが不当な契約によって損失を被るリスクが減り、ビジネスの安定性が高まる。今国会での成立をめざす。

商法の運送ルールを規定する543~628条と、海商について定める684~851条を改正する。航空運送を運送営業の総則を定める569条に書き加え、荷物の紛失・破損時の損害賠償責任などを定めた商法のルール全体を適用する。

現在、航空運送には商法が適用されず、国土交通省の標準約款を基に各社が定める約款が適用される。「相当部分はうまくまわっている」(法務省民事局)というが、過去には約款で定めた損害賠償限度額を裁判所が無効とした判例もあり、不当な約款で企業が損失を被るリスクがあると指摘されている。

法改正すれば損害賠償が必要となる事故などが発生した場合、商法の規定が適用されるようになる。ビジネス相手に現行法制の不備を悪用されたり、相手と無用な紛争が生じたりといったリスクを低減できる。航空業界は「法的安定性の面で意義がある」(ANAホールディングス)と歓迎する。

宅配便や引っ越しなどで荷物が損傷した場合、陸上・海上運送では運送人の責任は原則1年たつと消失する規定がある。現在は航空運送には適用されず、通常の債権の時効である5年が適用されてきた。法改正で航空運送も1年で責任が消失するようになり、現状と比べてビジネスの将来予測が立てやすくなる。

陸上・海上運送も現代の実務に即した規定に改める。危険物の運送時に荷主に通知義務を課す規定を新設し、荷物が爆発した際の責任の所在を明確にする。船とトラックなどを組み合わせて目的地に運ぶ「複合運送」の規定も新設した。

海上輸送時に事故があった場合、船主の過失がなくても船主が責任を負うという現在の規定も見直す。国際的に船主の責任は過失がある場合に限られており、世界標準に合わせて過失がなければ船主の責任を減免する。

今回の改正でカタカナ文語体の部分をひらがなの口語体に直す。これで国家の基本法となる「六法」の全文が口語になる。

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