多国籍企業のグループ内取引報告義務化 課税逃れ防ぐ
OECD

2014/9/16付
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日米欧などの34カ国でつくる経済協力開発機構(OECD)は16日、多国籍企業の課税逃れを防ぐ国際ルールをまとめた。企業グループ内の国境を越えた取引について、税務当局へ年1回報告することを義務付ける。税率の低い国に利益を移す節税策を防ぐ狙いだ。対象となる企業の線引きが今後の焦点となる。

20、21日にオーストラリアで開く20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で報告する。企業グループ内の取引価格(移転価格)を操作し、税率の低い国に利益を集める節税策を防ぐ移転価格税制を強化する。

具体的には、原材料や知的財産をいくらで売買し、価格をどう決めたかの報告を義務付ける。親会社や子会社が所在する国でそれぞれ税務申告する際に報告書を提出させる。2016年以降の実施を目指す。OECD加盟国のほか、中国などG20に参加する国々も加わる見通しだ。

報告書によって、グループ内の国際取引は税務当局に筒抜けになる。過度な節税を図ろうとする多国籍企業に対して、一定の抑止効果は期待できそうだ。

対象は複数の国で事業を展開する企業だが、規模などの条件は今後決める。日本では資本金1億円以下の中小企業は対象から外す方向だ。

経団連は「課税逃れに無縁の大半の企業に過度な負担を求めるべきではない」と訴えている。米国や欧州、アジアに子会社がある大手食品メーカーは「税率を意識した事業展開をしていないので、単純に事務作業負担が増えるのは懸念材料だ」と話す。今後、対象企業をさらに減らすよう求める声が強まりそうだ。

課税逃れはここ数年、米国に本社を置く多国籍企業を中心に問題となってきた。米スターバックスは英子会社での利益をスイスなどに移し、課税を逃れたことが12年に英国で問題化した。米グーグルは知的財産を税率の低いアイルランドに集約し、各国の子会社から知的財産使用料を集めて節税しているとされる。

今回の対策では、親会社にはグループ企業が各国で支払う税額や保有する知的財産、グループ内の金融取引の情報などの提出も義務付ける。多国籍企業が世界中でどのように節税しているか全体像を把握する。

 ▼移転価格税制 国境を越えた企業グループ内の取引価格(移転価格)を不正に操作し、税率の低い国に利益を集める節税策を防ぐ税制。外部企業と取引した場合の価格と、グループ内の取引価格を比較して価格設定が適正かどうか税務当局が判断する。問題があれば、企業に追徴課税する。
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