2019年6月16日(日)

最低賃金「20円上げ」攻防 厚労省、労使議論開始

2016/6/14 23:08
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厚生労働省の中央最低賃金審議会は14日、2016年度の最低賃金(現在は全国平均798円)を決める議論を始めた。安倍政権は年3%程度の引き上げを目指しており、時給で20円超の上げが実現するかが焦点だ。今夏の決着に向け、労使の攻防が激しくなる。

14日の審議会では塩崎恭久厚労相が「最低賃金を含めた賃金引き上げを通じ、消費を喚起する」と意欲を示した。

3年間続けたアベノミクスで雇用情勢などは改善したが個人消費は低迷が続く。最低賃金に近い水準で働く人は約750万人と高水準で、賃金底上げにより「成長と分配の好循環」(塩崎厚労相)を引き出す狙いだ。

最低賃金は都道府県ごとに異なり、15年度は東京都が907円、大阪府は858円。全国平均では18円アップし798円だった。過去3年間の引き上げ額は合計で約50円となり16年度に20円超で合意すれば過去最大だ。

ただ引き上げ額の基準になる物価などには陰りも濃い。1~3月の消費者物価指数は前期に比べ0.5%低下。円高などで経常減益を見込む企業も多く、今年の春季労使交渉では賃上げ率が前年を下回ったもようだ。

中小企業経営者からは「大幅な引き上げは経営の重荷になる」と懸念する声があがっている。

経済指標だけみると大幅な増額は困難だが、政治圧力は強まる一方だ。安倍政権は一億総活躍プランなどに中期的に「全国平均1000円を目指す」との方針を掲げた。全労連は「きちんとした生活には時給1000円でも足りない」(幹部)と不満を表明している。

数値目標の初年度だけに安倍政権としても3%増を死守したい構えで、塩崎厚労相も14日は「(政府方針に)配慮した調査審議を求める」と委員に歩み寄りを求めた。

米大統領選では民主党の指名候補に確定したヒラリー・クリントン前米国務長官が最低賃金の時給を15ドルに引き上げる考えを表明した。今の水準のおよそ2倍だ。

日本の最低賃金はここ数年、上昇ピッチが速まってはいるが、「同一労働同一賃金」を進める欧州の主要国よりは水準が低い。経済協力開発機構(OECD)によると、15年の実質最低賃金はフランス(12.8ドル)などと比べて日本は6割程度にとどまっている。

▼最低賃金 労働者に最低限の生活を保障するため、企業が従業員に支払うよう最低賃金法で義務付けられる時給。厚労省の審議会が7月から8月に全国平均の目安を示し、その後、各都道府県が各地の水準を決定。新たな最低賃金を10月をメドに適用する。

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