長崎新幹線に暗雲 新型車両に国が不具合報告

2017/7/14 21:10
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 2022年度に開業を予定する九州新幹線の長崎ルートに暗雲が垂れ込めてきた。国土交通省は14日開いたフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)の技術評価委員会で、導入を検討する新型車両に不具合があると報告。JR九州は車両費が割高なことも踏まえ採用を見送る。長崎ルートをどう走らせるかは、難しい政治判断になる。

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 FGTは線路の幅が違う新幹線(1.4メートル)と在来線(1メートル)のそれぞれを車輪の間隔を変えて走行する新技術だ。評価委員会は3月までの走行試験(3万キロメートル)の結果、新型車両の車軸に小さな傷が残ると判断。車軸がさびる恐れがあり、新幹線の安全基準にあたる60万キロメートルの走行にまだ耐えられないと結論づけた。

 FGTは約20年前から総額500億円を投じて開発を進め、14年に新型車両が完成した。国交省幹部は「開発は続けるが、新型車両の導入予定は大幅に遅れる」という。

 もろに影響を受けるのが九州新幹線の長崎ルートだ。現状は22年度に博多駅(福岡県)―武雄温泉駅(佐賀県)は在来線の特急に乗り、武雄温泉で長崎駅行きの新幹線に乗り換える「リレー方式」で暫定開業する。

 25年度にFGTだけの全線開業も予定したが、発覚した不具合のため新型車両の投入時期は白紙に戻った。

 FGTの車両コストは通常の2.3倍に上る。運行を担うJR九州は「安全性と経済性について、まだ引き受けられる状況ではない」(青柳俊彦社長)との理由から長崎ルートでの採用を見送る。長崎ルートに続き、北陸新幹線の延伸ルートに適用する構想も宙に浮く。

 長崎ルートの運行には2つのシナリオがあり得る。一つはあくまでFGTの開発を待ち、リレー方式をしばらく続ける案。もう一つは「博多駅―長崎駅」まで全線を新幹線で走行する案だ。

 ただリレー方式は時間短縮の効果が低い。新大阪駅を走る山陽新幹線とも結ばれず、採算性が高まらない。JR九州の鉄道事業は実質赤字の状態が続く。さらに長崎ルートでも採算割れの運行が続けば、上場したばかりのJR九州は株主から批判を受けかねない。

 一方、全線を新幹線にする案は線路の建設費が課題だ。福岡県と長崎県の間にある佐賀県は建設費の地元負担を約800億円と見積もる。

 与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチームは14日、国交省を呼んで検討委員会を開いた。ある委員は「FGTの可否を含めて検討しないといけない」と指摘。別の委員も「全線新幹線など色々な案があるが、与党として早急に結論を出したい」と言及した。FGTは技術の検証が見切り発車になった格好で、多額の予算を投じただけに国民の批判が高まる可能性がある。

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