国際カルテル防止へ外国企業にも課徴金 公取委検討
公正取引委員会は独占禁止法に違反した企業への課徴金制度について、国際カルテルを防ぐため、日本企業とともに外国企業にも課徴金の支払いを命じやすくする。企業活動のグローバル化に伴い、国境をこえたカルテルが増加。現在は日本企業が処分の中心だが、海外売上高を課徴金額に算入できるようにし、外国企業にも公平な処分を課すようにする。
現行の独禁法で課徴金を算定する場合、カルテルなどで得た国内の売上高を基礎額にすることが原則となっている。
だが、この方式では、企業同士が営業エリアをすみ分ける「市場分割型」の国際カルテルをした場合に、日本以外の国を縄張りにした外国企業に対して課徴金支払いを命じることができない。
公取委が2008年に摘発した石油移送ホースを巡る国際カルテルでは、ブリヂストンを含む日英仏伊4カ国の計5社がカルテルに関与したと認定されたが、実際に課徴金納付命令を受けたのは日本を縄張りにしていたブリヂストンだけだった。
また現行制度では、課徴金算定の基礎にする売上高は3年分に限られている。公取委はこの"3年縛り"についても「違反行為をしていた間」としている欧州連合(EU)などの制度を参考に見直す方向だ。
新たな課徴金制度は、公取委に幅広い裁量を認めることにもなり、経済界などから理解を得ることも重要になる。公取委はこのほど、課徴金制度の見直しに向けた論点案を公表し、経済界や専門家などから幅広く意見を公募することにしている。
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