2019年9月19日(木)

脱時間給、金融・商社が意欲 生産性の向上狙う

2015/2/14付
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厚生労働省は13日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)を開き、時間ではなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)の導入を正式に決めた。通常国会に関連法案を提出し、2016年4月の施行を目指す。対象は年収1075万円以上の専門職で、金融大手や総合商社などが導入を検討する。ムダな残業を減らして労働の生産性を高める狙いだが、導入には労使の合意が必要だ。

企業側は導入に前向き

野村証券正式に決まれば対応を検討
大和証券
三井住友銀行法整備の状況を見て検討を進める
みずほFGどの職種が対象になるか調査中

住友商事できるだけ広く適用したい
伊藤忠商事成果に賃金を払う考えには賛同

武田薬品工業長谷川閑史会長が脱時間給を提言

同日の労政審では脱時間給のほか、中小企業の残業代引き上げなどを盛り込んだ働き方改革の報告書をまとめた。脱時間給の正式名称を「高度プロフェッショナル制度」とすることも決めた。

労働時間の上限は1日8時間、週40時間と定められており、法定時間を超えると企業は残業代を支払う必要がある。脱時間給は残業代がなく、成果に応じて給与を払う仕組みで、労働時間が長くても短くても収入が変わらないのが特徴だ。導入には企業ごとに労使で休日や休息の確保策などを取り決め、対象者1人ずつが署名などで同意することが必要になる。

報告書では脱時間給の職種として(1)金融ディーラー(2)アナリスト(3)金融商品開発(4)コンサルタント(5)研究開発――の5つを例示した。厚労省は職種をさらに広げる考えで、企業の要望を幅広く聞き取る。今年夏から再び労政審を開いてどこまで適用するか年内に決める。対象は専門性が高く、働く時間と成果のつながりが強くない仕事だ。コピーライターやデザイナー、データ分析の専門家らも候補になる。

働き方の選択肢が広がる
制 度残業代深夜・
休日
手当
▼「脱時間給」(新設)××
・年収1075万円以上
・ディーラー、アナリスト、金融商品開発、コンサル、研究開発職など
・年104日の休日など条件
▼裁量労働制×
・一定時間を働いたとみなす
・デザイナーや弁護士など
▼フレックスタイム
・出退勤の時間をずらせる
・どんな職種でも使える

報告書の取りまとめを受けて導入の検討に動く企業もある。みずほフィナンシャルグループは社内で対象業務の洗い出しに着手し、法案が通れば導入の可否を検討する方針だ。三井住友銀行も「法整備の状況を見ながら検討を進める」という。野村証券や大和証券も制度が正式に決まれば対応を検討する。いずれも為替や株式のディーラー、アナリストなどの職種が対象になりそうだ。

商社でも住友商事が「できるだけ広く適用したい」とするなど大手が導入に意欲を示す。厚労省はメーカーの開発職も対象としたい考えで、製薬も導入の検討に入る。政府の産業競争力会議の民間議員として脱時間給の導入を唱えたのは武田薬品工業の長谷川閑史会長で、同社など大手製薬会社の研究職にも導入が広がる可能性がある。

脱時間給の対象は年収1075万円以上の専門職だ。国税庁の調査では186万人が年収1000万円超だが、うち68万人は役員だ。残りの多くも既に「脱時間給」である課長以上の管理職とみられ、新たな対象者は限られる。政府が07年に脱時間給を検討した際には、年収900万円以上の課長補佐級である約20万人を対象と見積もった。今回は年収基準が上がってさらに専門職に限ったため「20万人よりかなり少なくなる」(厚労省幹部)という。

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