社会保障「全世代型」に 自民小委、中長期ビジョン中間報告
自民党の小泉進次郎氏や若手らで中長期の社会保障制度を議論する「2020年以降の経済財政構想小委員会」は13日、中間報告をまとめた。高齢者に偏った社会保障のしくみを改め、若年層にも配慮した「全世代型」に転換するよう要求。財源は「年齢ではなく所得や資産などに応じた給付・負担」で確保するとした。負担増などの具体策は結論を先送りし、年末までに決める。
同小委は財政再建に関する特命委員会(委員長・稲田朋美政調会長)の傘下に置かれ、橘慶一郎氏が委員長を務める。事務局長の小泉氏が主導し、30~40歳代の若手議員が中心だ。
中間報告は受験、新卒入社、終身雇用、定年などのこれまで平均的とされてきた生き方を「レール」と名付けた。「政治がレールをぶっ壊していく」とし、多様な生き方ができるように65歳以上としている高齢者の定義見直しなどをあげた。
社会保障制度は「給付と負担が均衡しておらず、多くの部分を将来世代に先送りしている」と指摘。現行制度が続けば「世代間格差が拡大する恐れもある」としている。
全世代型への転換策として国民の資産や所得をきめ細かく把握して「真に支援が必要な高齢者に給付を行う仕組みとする必要がある」とした。
17年4月に予定している消費税率10%への引き上げの可否や、年金支給年齢の引き上げなどの具体的な施策には踏み込まなかった。小泉氏は記者会見で「基本的な認識をつくり共有した。各論はこれからだ」と述べた。
政府・与党内には「7月の参院選などを控えて、高齢者の負担増や給付減を打ち出せば反発を招くのを懸念したのでは」との声がある。年末に向けて具体的な財源確保策なども焦点となる。
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