NY株最高値、起点は英EU離脱 緩和長期化の思惑広がる

2016/7/13 21:13
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ダウ工業株30種平均が12日の米株式市場で過去最高値を更新した。起点は英国の欧州連合(EU)離脱決定だ。世界経済の不透明感が強まり、米国で緩和的な金融政策が長引くとの思惑が広がった。「米国買い」で株式・債券とも割高感が意識され、相場急変のリスクもくすぶっている。

「英国民投票以降、マネーが猛烈な勢いで米国債市場に流入している」。ニューヨークの運用会社幹部は米国外の投資家による活発な米国債買いに驚きを隠さない。

英国民投票でEU離脱が決まると、運用リスクを避けようと世界中の安全資産が買われた。オランダの10年物国債利回りがマイナスとなるなど、欧州では主要国の国債相場が急騰、利回りは軒並みマイナス圏に沈んだ。

そうした中、1%台後半の利回りを保っていた米国債は運用対象として投資家に魅力的に映った。米国債は米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げで価格が下がるとの観測が足かせになっていたが、英EU離脱決定で「年内は利上げが難しい」との見方が浮上。海外勢はせきを切ったように資金を投じた。

こうした買いで米国債の利回りが1%台前半に低下すると、マネーの新たな流れが生まれた。米国債での運用では十分なリターンが得られなくなり「米国株が債券より魅力的」(米著名ストラテジストのボブ・ドール氏)といった声が浮上したのだ。なかでも配当利回りの高い内需株への海外勢の買いが強まった。

6月の米雇用統計が予想を大幅に上回り、米国景気の失速懸念は後退した。欧州情勢の影響を受けにくい米国の内需株は、米国債に代わる「安全資産」となった。

海外マネーを引き付けたのは配当利回り3~4%の通信や電力・ガス株。業種別だとこれらは最近1カ月の上昇率が最も高い。

米国株買いは内需株から裾野を広げつつある。減益の続いた米主要企業が早ければ7~9月期決算で増益に転じる可能性が出てきたためだ。

原油先物相場の下げ止まりでエネルギー企業の減益に歯止めがかかる。利上げ観測の後退で国際展開する米企業へのドル高の逆風も和らいだ。

米企業は比較的、欧州情勢の影響を受けにくい。米サプライマネジメント協会(ISM)の調査では、米企業の61%が英EU離脱の影響は「ほとんどない」と回答した。英離脱ショックで世界の企業の業績不安が広がるなかで、むしろ米企業の業績の底堅さが意識される可能性もある。

もっともPER(株価収益率)は約17倍と金融危機前の水準に上昇している。ゴールドマン・サックスのデービッド・コスティン氏は株価指標に割安感が乏しいことや自社株買いの減速、大統領選を控えた政治的な不透明感の高まりで「7~12月には米株式相場が軟調になる可能性もある」と指摘している。(ニューヨーク=山下晃)

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