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20年改憲 自民内に異論 党草案との整合性焦点に

自民党は12日、安倍晋三首相(党総裁)が目指す2020年の新憲法施行に向けた党内論議を始めた。首相は党憲法改正推進本部の保岡興治本部長に自民党案を早期にとりまとめるよう指示したが、党内では改憲項目や手続き論などを巡って異論も表面化している。12年にまとめた党憲法草案との整合性も焦点になりそうだ。

首相は保岡氏と約40分間会談。「衆参両院の憲法審査会に出す自民党案をまとめる努力をしてほしい。具体案がないと審議が活発にならない」と議論を加速させるよう指示した。「各党ともよく話し合ってほしい」とも語った。保岡氏は「党総裁から方向性が示されたことでやるべきことが明確になった。最大限努力する」と応じた。

関係者によると、首相は改憲項目として、自ら提案している9条改正と教育無償化に加え、大規模災害などの際に国会議員の任期を延長する「緊急事態条項」などを挙げたという。

首相は今年が憲法施行70年という節目を生かし、議論を喚起したい考えだ。菅義偉官房長官も記者会見で「自民党は立党以来、憲法改正を党是としてきた。憲法審で各党がそれぞれの考え方を示した上で建設的な議論をし、国民的な議論につなげたい」と強調した。

ただ、首相の思いほど、党内の改憲熱は現時点で高いわけではない。

自民党は首相と保岡氏の会談に先立ち、すべての所属国会議員が参加できる憲法改正推進本部を開いた。首相が20年の新憲法施行に言及後、初めての会合だったが、出席者は20人ほどで空席も目立った。事前に予定していた有識者からのヒアリングを済ませただけで、首相発言に関する意見はほとんど出なかった。

むしろ党内では野党時代の12年にまとめた自民党改憲草案と、首相の発言が異なることへの不満がくすぶる。改憲草案では9条に国防軍の保持を明記しており、首相が打ち出した「9条の1項、2項を残し、自衛隊を明文で書き込む」との案とは溝がある。野党時代に政調会長を務めた石破茂前地方創生相は記者団に「何をやっても党総裁の一言でひっくり返るなら、誰もやらなくなる」と不満をぶちまけた。

手続き論でも異論があがる。改憲の発議権は国会にあり、行政府の長である首相主導での改憲論議には懐疑的な意見が漏れる。船田元・憲法改正推進本部長代行は「国会の議論に一定の期限を切ることは望ましい議論ではない。安倍首相には発言に十分節度を持っていただきたい」と苦言を呈した。12日の党総務会では「3月の党大会で発言すべきだった」などの声が上がった。

停滞している衆院憲法審は18日に議論が再開する方向だが、自民党は首相が訴えた新憲法20年施行を「審査会が縛られるものではない」とする党声明を公表。ちぐはぐぶりも目立つ。

党の垣根を越えて長年、憲法改正の実現をめざしてきた船田氏ら「憲法族」には「首相は何の根回しもなしに対話路線を崩壊させた」(推進本部幹部)と映る。今後も与野党協調路線を維持したい考え。党幹部は「議論のギアを変えられないのなら、別の知恵が必要になる」(下村博文幹事長代行)などと体制刷新も辞さない構えだ。

こうした自民党の状況に、連立を組む公明党は静観の構えだ。井上義久幹事長は12日の記者会見で、9条に自衛隊を明記する考えについて「ただちに憲法上明記しなければ安全保障に支障がある状況でもない」と指摘。「自民党内の議論を見守りたい」と語った。

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