郵政株、9月中にも最大1.4兆円を追加売却
財務省が正式発表
財務省は11日、保有する日本郵政株を月内にも追加売却すると正式に発表した。売却は日本郵政が新規株式上場(IPO)した2015年11月以来、1年10カ月ぶり。財務省は最大で1兆4000億円を売り出す。投資家の需要や株価動向を見極め、早ければ25日に売り出し価格を決める。売却で得た収益は東日本大震災からの復興財源に充てる。
証券会社は11日から投資家を勧誘できるようになる。積み上げた投資家からの需要や株価動向を勘案し、売り出し価格は25~27日の間に最終決定する。最短で25日の終値から数%割り引いた価格で売り、29日にも受け渡しが完了する。
財務省は市場で最少1兆2000億円を売り出す計画で、投資家の需要が多ければ1000億円を追加する。日本郵政が1000億円を自社株買いする。
政府は郵政株の約8割を保有しており、郵政民営化法はできるだけ早く保有比率を3割超まで下げると定めている。15年のIPO時には約2割相当を売り出し、1兆4000億円の収入を得た。今回の追加売却の後も1~2回に分けて売り出し、22年度までに計4兆円の収益を確保して復興財源に充てる計画だ。
郵政株の11日の終値は1321円でIPO時の売り出し価格である1400円を下回る。だが、計算上は最低1230円を上回っていれば目標の4兆円を確保できるため、復興財源の早期確保を優先する。
日本郵政を巡っては豪物流子会社トール・ホールディングスの業績悪化が響いて17年3月期に07年の郵政民営化以来初めての最終赤字に転落。一時浮上した不動産大手の野村不動産ホールディングスの買収計画も白紙になるなど先行きに不透明感を与える材料が続いており、当初予定していた7月の追加売却を延期していた。
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