2018年11月21日(水)

海水注入「絶対にやめるな」 吉田調書を公開

2014/9/12付
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政府は11日、東京電力福島第1原子力発電所事故時の状況に関し、政府の事故調査・検証委員会が吉田昌郎元所長(昨年7月死去)から聞いた「吉田調書」を公表した。原子炉を冷やす海水注入に首相官邸内で慎重論があったにもかかわらず「絶対に中止してはだめだ」と部下に命じ注水を続けたと証言している。事故の主因となった巨大津波に対しては「そんなのって来るの」と考えていたことも明らかになった。

内閣官房のホームページで公開した。菅義偉官房長官は同日の記者会見で「(吉田調書が一部報道で)独り歩きするとの本人の懸念が顕在化している」と語り、遺族や本人の同意が得られた調書について政府の判断で公開し、事故の教訓を後世に残す考えを示した。

事故発生翌日の2011年3月12日夜、消防車を使って1号機への海水注入を始めた。調書によると、首相官邸で海水注入による再臨界を懸念する声が出たため、官邸に詰めていた東電の武黒一郎フェロー(当時)から電話で「官邸ではまだ海水注入は了解していない」「四の五の言わずに止めろ」と指示があったという。

吉田氏は「論理根拠も何もない」と判断。部下に「絶対に中止してはだめだ」と命令し海水注入を継続する一方で「本店には中止したという報告」をしたと振り返っている。

事故原因となった津波は最大15.5メートルに達したが、「今の基準で十分持つと1回判断している」と考えていたことも証言した。事故後に津波の想定が甘かったという批判を受けたことには「無礼千万」などと強い不満を示していた。

東日本大震災の地震の規模である「マグニチュード9がくると言った人はだれもいない」と指摘。震災と津波で亡くなった人について「これは誰が殺したんですか」「こちらに言うんだったら、あの人たちが死なないような対策をなぜそのときに打たなかったんだ」としたうえで「原子力発電所の設計だけの議論をする」のは「非常にいびつ」と強調した。

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