クロマグロ漁獲枠15%減 漁業者に不満も
水産庁は8日、資源の減少が懸念される太平洋クロマグロに関する会合を東京都内で開いた。幼魚(30キログラム未満)の漁獲量を約15%減らす新たな漁獲枠を漁業者に伝えた。幼魚の漁獲量が国際社会に約束した水準を上回り、超過分を翌年に差し引く必要があるためだ。漁獲の制限は資源管理のために不可欠だが、漁業者には反発もあり、実効性に課題が残っている。

前期(沖合漁業は昨年1月~同12月、沿岸漁業は昨年7月~今年6月)に国際的に約束した漁獲枠は4007トンだったが、最終的には4340.5トンに達した。他の魚種を狙っているのにクロマグロが網にかかる「混獲」が主因とされる。
国際ルールでは約束分を超過すると、翌期以降の漁獲枠を減らす決まりがある。水産庁はこれに基づき、7月に始まった今期の漁獲枠を583.5トン少ない3423.5トンに抑える方針を示した。都道府県別では北海道や島根県など25道府県で漁獲枠が減る。
規制の順守が難しいのは、海域によってはクロマグロの来遊頻度が高まっていることがあるためだ。会合に出席した長崎県の美津島町漁業協同組合の水主川澄男組合長は「(増加傾向にある)クロマグロの幼魚がイカを食い荒らすのでイカ釣りが成り立たない」と指摘する。推定資源量は低水準だが、漁場によって事情は異なっている。
今月末から韓国で太平洋クロマグロの国際会議が開かれる。環境保護に熱心な欧米は厳しい管理措置の導入に意欲を示している。国内外の調整は難航しそうだ。