日スリランカ首脳会談、海上安保協力を強化 中国意識

2014/9/7付
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【コロンボ=宮坂正太郎】安倍晋三首相は7日、スリランカの最大都市コロンボの大統領府でラジャパクサ大統領と会談した。海上安全保障などを話し合う関係省庁の局長級協議を新設し、日本の巡視艇供与の調査に入る。中国を意識し、シーレーン(海上交通路)の要衝にあるスリランカとの協力を広げる。地上デジタル放送の整備などで約137億円の円借款の交換公文に署名した。

会談を前に握手を交わすスリランカのラジャパクサ大統領(右)と安倍首相(7日、コロンボの大統領府)=共同

会談を前に握手を交わすスリランカのラジャパクサ大統領(右)と安倍首相(7日、コロンボの大統領府)=共同

両首脳は会談後、海洋協力を柱とする共同声明に署名した。首相は共同記者発表で「スリランカは基本的価値を共有する同じアジアの海洋国家だ。経済関係をいっそう強化したい」と表明。大統領は「経済発展の道筋を確立する。日本の支援に感謝したい」と語った。

両首脳は会談で、スリランカの沿岸警備庁の人材育成のため、海上保安庁の研修への招請や専門家派遣を進めることで合意した。海上自衛隊と同国海軍が訓練などの協力をする方向性も確認した。海洋協議では航行の安全確保や油の流出などの環境問題などを幅広く議論する予定だ。

経済分野では3月に日本方式の地デジの採用を決めたスリランカに、送信設備の整備などへの円借款供与を決めた。渋滞が深刻なコロンボの都市公共交通でも協力方針を伝えた。モノレールの整備を念頭に置いている。大統領は会談で「投資環境の整備で日本の企業に進出してもらい、対日輸出が増えるよう期待する」と語った。

首相は気象予報や災害警報など防災分野で支援する考えも表明した。日本が得意とする高効率石炭火力発電の導入を進める方針でも両首脳が一致した。スリランカの行政官の育成に協力する考えも示した。

日本にとってスリランカは経済、安保の両面で重要な場所にある。中東産油国や東アフリカ市場との中継地点にあたり、中東・東アフリカ沖を航行する民間船舶が海賊対策で警備要員を乗せる際の拠点の一つだ。東アフリカのソマリア沖の海賊対処を担う海上自衛隊艦船が2011年春以降、頻繁に寄港している。

スリランカはインド洋の物流拠点をめざしている。同国の沿岸警備庁は10年に始動したばかりで、外洋に面した島国で高い海上保安能力を持つ日本に支援を求めていた。

インド洋沿岸国に港湾拠点を確保する「真珠の首飾り」と呼ばれる戦略を進める中国もスリランカに秋波を送る。09年のスリランカ内戦終結後に高速道路の整備や港湾・空港の大型開発などで援助を拡大し、08年まで最大の援助国だった日本を支援規模で上回る。首相は会談で中国を念頭に「日本は南アジア諸国との関係を一層強化する」と語った。

スリランカは09年まで政府とタミル系武装勢力の内戦状態が続き、欧米諸国から人道上の問題も指摘されている。首相は共同記者発表で「国民和解へのスリランカの努力を後押ししたい」とも語った。

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