加工食品全てに産地表示義務づけ 消費者庁など素案
消費者庁と農林水産省は5日、国内で製造された全ての加工食品の表示について産地の表示を義務づける素案をまとめた。加工食品は季節などで産地が頻繁に変わるケースが多いが、そうした場合でも「A国または国産」など分かる範囲で産地表示を義務づける。食品メーカーのコスト負担が増し、消費者に誤解を与えかねないと不安視する声もある。結論を出す11月まで曲折がありそうだ。
両省庁が同日開いた有識者会議で素案を示した。加工食品は乾燥キノコや緑茶飲料などの22食品群と、ウナギのかば焼きなど4品目しか産地の表示を義務づけられていない。環太平洋経済連携協定(TPP)で海外の食品の流入が予想され、両省庁は産地の表示を厳しくして食品の安全確保に努める。
素案によると、加工食品に占める重量の割合が最も大きい原材料の産地表示を義務づける。例えばカレーのレトルト商品の場合、牛肉は「牛肉(オーストラリア)」と表示する。外食やその場で調理する弁当などは対象外だ。
ただ、食材の産地を変えるたびに包装材を改めると小売価格が高くなる恐れがある。両省庁は「豚肉(カナダまたはアメリカまたはその他)」、あるいは単に「大豆(輸入)」など簡単な表示も認める方針だ。
同日の会合で有識者からは「表示ラベルは今でも文字でいっぱい。さらに広げて消費者のためになるのか」(日本チェーンストア協会)、「ホームページで紹介する方が実効性が高い」(伊藤園)との反発する意見が相次いだ。
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