賃金上昇、中小は弱く 7月実質賃金27カ月ぶり増

2015/9/5付
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厚生労働省が4日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報値)では物価変動の影響を除いた実質賃金が前年同月比0.3%増えた。27カ月ぶりに増加したものの市場予想を下回った。大企業と比べ中小企業の夏のボーナスが伸び悩んだ影響だ。実質賃金の伸びが緩やかなため家計の消費が拡大する波及効果も弱いと懸念する声が出ている。

実質賃金は名目賃金の指数を消費者物価指数(CPI)で割ってはじく。プラスは物価変動を超えるペースで収入が増えていることを示す。

7月の1人当たりの名目賃金(現金給与総額)は0.6%増の36万7551円と市場予想の2%増を下回った。このうちボーナスなど「特別に支払われた給与」が10万7092円と0.3%の微増にとどまったためだ。

製造業だけみれば、特別給与は伸びている。従業員500人以上の大手は3.3%増えた。海外展開する企業の多い製造業は円安の恩恵を受けて業績は好調で、ボーナスにも反映している。一方で、円安がコスト上昇要因になる小売りなど内需企業は横ばいや減少した企業が多いとみられ、特別給与全体を抑える格好になった。

5~8月に支給する夏のボーナスは前年比でマイナスになる可能性もある。従業員30人以上の企業の38%がボーナスを支給した6月の特別給与は前年同月比6.7%も減った。厚労省はボーナスの支給が7~8月に後ずれした影響とみていたが、予想外に7月は伸びなかった。8月に支給する企業は1割程度とみられ、全体を押し上げる力は乏しい。

予想と比べ賃金が伸び悩む一因は統計にあるとの指摘もある。毎月勤労統計は今年、調査対象の事業所を入れ替えた。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「サンプルが替わり、統計にゆがみが生じたのではないか」と指摘する。

毎勤統計は確報値で速報値から下方修正されることが多い。速報値は正社員に比べ収入が少ないパート労働者の比率が小さく、数字が高めに出る傾向があるためだ。9月下旬に発表する7月の確報値でも実質賃金は下方修正される可能性がある。

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