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TPP、合意見送り 新薬・乳製品の対立解けず

(更新)

【ラハイナ(米ハワイ州)=八十島綾平】環太平洋経済連携協定(TPP)を巡ってハワイ州のホテルで開かれていた日米など12カ国の閣僚会合は7月31日午後(日本時間8月1日午前)、合意を見送って閉幕した。医薬品に関する知的財産ルールや乳製品の貿易で対立し、各国の利害を調整できなかった。参加国は8月中の閣僚会合の再開を目指す。交渉の妥結に向けた機運をつなぎ留めることができるかが、当面の焦点となる。

合意見送りの後、12カ国の閣僚は共同声明を発表し、今回の会合では「大きな成果が得られた」と強調。「妥結が手の届くところに来ている」として、今後も協議に力を尽くす意向を示した。

会合後の記者会見で、甘利明経済財政・再生相も「もう一度、会合が開かれれば、すべて決着すると思う」と話した。

関係者によると、貿易分野の閣僚が集まる国際会議などに合わせて、8月下旬にも再びTPP閣僚会合を開くことを想定している。ひとまず交渉決裂という事態は避けられたものの、各国の政治情勢などもあり今後の展開は予断を許さない。

今回のTPP閣僚会合は7月28日から4日間の予定で開かれ、各国はぎりぎりの交渉を続けてきた。交渉最終日となった31日に向けて事務レベルでは前夜から徹夜の調整が進められ、「残された課題は相当数減った」(交渉関係者)。31日朝までに特産品に地名をつける地理的表示の保護ルールの交渉などは、おおむね決着したという。

だが当初から難航が予想された薬品のデータ保護期間を巡る交渉は、最後までもつれた。

新薬を開発できる巨大製薬会社を抱える米国は企業が開発コストを回収できるように12年の保護期間を主張。一方、早期に安価な後発薬を使いたいオーストラリアやニュージーランドは5年を求め対立が続いた。閣僚会合では8年という妥協案で合意を目指したが、最後まで折り合うことができなかった。

乳製品の貿易を巡っても関係国の対立が結局、解けなかった。競争力の高いニュージーランドが、日本やカナダなどに大幅な輸入拡大を要求。各国はニュージーランドに過大な要求を取り下げるよう説得を試みたが、不発に終わった。

12カ国全体の交渉の遅れは、日米間の協議にも響いた。甘利氏は28日に米通商代表部(USTR)のフロマン代表と会談したものの、焦点のコメや自動車に関する突っ込んだやりとりに至らず、2度目の閣僚協議も開かれずじまいだった。両国は多くの問題で歩み寄ったが、12カ国全体での合意が見通せない中では、閣僚間でカードを切り合う必要性が乏しいと判断したもようだ。

TPP交渉参加国は、これまでの交渉成果を基に次回閣僚会合での妥結を目指すとみられるが、状況は楽観できない。交渉の行方を大きく左右する米国では2016年の大統領選に向け、与野党の攻防が激しくなるのは必至。政府・議会との調整は難しくなる。TPP交渉で譲歩する余地は狭まり、交渉妥結に向けた推進力が低下しかねない。

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