日経チャンネルマーケッツでは、マーケット・経済専門チャンネル日経CNBCの番組をライブ配信。配信中の番組から注目のトピックスをお届けします。
■将来への不安から「資産形成」の道へ
――最初の一歩の後を教えてください。
「最初に購入した日経平均連動型ETFはリーマン・ショックで大きく元本割れしました。それでもめげずに、このETFや、投信ブロガーの方々が薦める海外株のETFを余裕資金で一括購入するなどの投資を続けていました」
「結婚して賃貸住宅に住んでいましたが、子供が生まれる直前の13年に新築のマンションを購入しました。購入費用をどう工面するか思案したのですが、住宅ローンをなるべく少なく抑えるため、日経平均連動型ETFや海外株ETFをはじめ、保有していた投信はすべて売却して、頭金に回すことにしました。売却金額は投資元本の1.5倍くらいまで増えていました」
――「コツコツ投資で資産形成」という意識が生まれたのはなぜですか。
「投信の売却資金でマンション購入の頭金を賄えたのはちょっとした成功体験であると同時に、売り急がなければ今は軽く元本の2倍以上にはなっていたはずと思うと素直に喜べない苦い体験です。どちらにせよ、購入と売却のタイミングをはかって資産作りをするのは自分には無理というのがよくわかりました。毎月、機械的に一定額を購入し続け、ほったらかしにするコツコツ投資が向いているのです」
「国の政策立案に関わる今の仕事はやりがいがあります。ただ、将来もやりがいを持って働けるのかどうか一抹の不安がぬぐえません。仮に居場所がなくなっても無理に仕事にしがみつかずに済むよう、コツコツ投資で経済的基盤だけは整えておこう。そんな気持ちが強くなりました」
「共働きで生活資金に余裕がある今は、夫婦ともにiDeCo(個人型確定拠出年金)に公務員上限の月1万2千円を拠出し、つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)は夫婦ともに年40万円の非課税枠をフル活用しています」
「妻は私の薦めるままにファンドを選んでいます。iDeCoは投資元本が膨らまなくても、掛け金の全額所得控除のメリットは見逃せません」
「私は特定口座でも積み立て投資しています。16年には長男の将来の学費を賄うためにジュニアNISAの口座を開設し、年80万円の非課税枠を使い切るよう、毎月一定額を積み立て投資しています」
■家族合わせた資産は低リスク
――資産配分の考え方を教えてください。
「私自身は現金を含めた資産配分をしています。現金とリスク資産の割合は2対8で、リスク資産はすべて株式で運用するインデックスファンドとし、地域別では先進国、日本、新興国の割合が6対2対2の比率です。一般的な市場時価総額比率の8対1対1に比べ、今後の成長期待から新興国の比重を高め、日本の比重も上げています。この配分比率にこれといった根拠はありません」
「リスク資産のリターンはマンション購入後からの5年弱の積み立て元本に対し、現在20%程度です。株式のみを投資対象としているのは,共働きで余裕資金のある間は長期運用の期待リターンを高くするためのリスクをとってもいいと考えているためです。現金は年1回のリバランス(配分調整)の原資にします」
「これ以外に生活防衛資金として生活費1年分相当の預金があります。妻はファンドのほかに預金や個人向け国債を保有していますので、資産配分を家族で合算してみると、普通預金と個人向け国債の比率が全体の55%程度を占め、比較的低リスクに収まっています(図A)」