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けいのすけさん、官僚も家族で運用(投信ブロガー)

ブログ「開店休業 インデックス投資Way」を運営する「けいのすけ」さん(30代後半の男性)は、東京・霞が関の中央省庁で国の政策立案に携わる国家公務員。同じく国家公務員の妻、長男の家族3人そろって、非課税口座もフル活用しながら指数連動型のインデックスファンドでコツコツ投資を続けている。官僚の身を明かした投信ブロガーは珍しく、投資家イベントにも積極的に参加し交流を深めている。ブログ名にある「開店休業」は学生時代からのファンである邦楽ロックバンド「ユニコーン」の知る人ぞ知る名曲のようだ。インデックス投資の「ほったらかし」のイメージにぴったり合うとして選んだという。けいのすけさんのインデックス投資Way(道のり)を聞いた。

最初の一歩は「絶対にもうかる」発言のETF購入

――インデックス投資を始めたきっかけを教えてください。

「2006年に、ネット証券でFX(外国為替証拠金)取引を手掛けていた知人から『手軽に口座開設できる』と教わり、日経平均株価連動のETF(上場投資信託)を購入したのが、私のインデックス投資の始まりです」

「その頃はまだ、投資が『資産形成』に役立つという考えは全くなく、ギャンブルに近い『一獲千金』ものととらえていました。知人からもFXで大勝ちしたとか、大負けしたという話ばかり聞かされていました」

「そのため臆病な性格もあってFXや個別株には手を出せず、普段からニュースでなじみのある株価指数に連動するETFを選んだというわけです。個別株とは違い、ETFが多くの銘柄に分散投資しているのは知っていました。それでも最初に30万円ばかり投入した時はまさに『清水の舞台から飛び降りる』心持ちでした」

「ETFといえば、その数年前に竹中平蔵金融・経済財政担当相(当時)が『絶対にもうかる』という趣旨の発言をして物議を醸したことがあります。最初に買ったのがETFだったのは『ETFはもうかる』と脳裏に刷り込まれていたのかもしれません。なりゆきとはいえ今にして思えば、最初の大きな一歩でした」

ブログを契機に投資家イベントで交流

――ブログを始めたのはなぜですか。

「16年にブログを立ち上げました。投資を始めてからそれまでの10年間はいくつかの投信ブログを参考にしながら『見よう見まね』のインデックス投資を続けていました。そのうち次第に『せっかく大事なお金を運用するのだから、もっと自分の頭で理解しておきたい』と思うようになり、それには考えたこと・学んだ内容をブログに書き込んでいくのがいいと思い立ちました」

「何より私のインデックス投資の道は、常に孤独でした。投資しているのを隠しているわけではありませんが、同じ話題を共有できる人が周囲に見当たらず、ブログを一つの契機にして、多くの投資家の方々と交流できるのではないかと考えたのです」

「面白いことに、引っ込み思案な性分にも関わらず『インデックス投資ナイト』や『投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year』などの投資家イベントにも参加してみたくなりました。こうした交流の場で『同志』の方々と、普段はできないような投資の話をすると孤独からの解放感に満たされ、投資を続ける励みになります」

将来への不安から「資産形成」の道へ

――最初の一歩の後を教えてください。

「最初に購入した日経平均連動型ETFはリーマン・ショックで大きく元本割れしました。それでもめげずに、このETFや、投信ブロガーの方々が薦める海外株のETFを余裕資金で一括購入するなどの投資を続けていました」

「結婚して賃貸住宅に住んでいましたが、子供が生まれる直前の13年に新築のマンションを購入しました。購入費用をどう工面するか思案したのですが、住宅ローンをなるべく少なく抑えるため、日経平均連動型ETFや海外株ETFをはじめ、保有していた投信はすべて売却して、頭金に回すことにしました。売却金額は投資元本の1.5倍くらいまで増えていました」

――「コツコツ投資で資産形成」という意識が生まれたのはなぜですか。

「投信の売却資金でマンション購入の頭金を賄えたのはちょっとした成功体験であると同時に、売り急がなければ今は軽く元本の2倍以上にはなっていたはずと思うと素直に喜べない苦い体験です。どちらにせよ、購入と売却のタイミングをはかって資産作りをするのは自分には無理というのがよくわかりました。毎月、機械的に一定額を購入し続け、ほったらかしにするコツコツ投資が向いているのです」

「国の政策立案に関わる今の仕事はやりがいがあります。ただ、将来もやりがいを持って働けるのかどうか一抹の不安がぬぐえません。仮に居場所がなくなっても無理に仕事にしがみつかずに済むよう、コツコツ投資で経済的基盤だけは整えておこう。そんな気持ちが強くなりました」

「共働きで生活資金に余裕がある今は、夫婦ともにiDeCo(個人型確定拠出年金)に公務員上限の月1万2千円を拠出し、つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)は夫婦ともに年40万円の非課税枠をフル活用しています」

「妻は私の薦めるままにファンドを選んでいます。iDeCoは投資元本が膨らまなくても、掛け金の全額所得控除のメリットは見逃せません」

「私は特定口座でも積み立て投資しています。16年には長男の将来の学費を賄うためにジュニアNISAの口座を開設し、年80万円の非課税枠を使い切るよう、毎月一定額を積み立て投資しています」

家族合わせた資産は低リスク

――資産配分の考え方を教えてください。

「私自身は現金を含めた資産配分をしています。現金とリスク資産の割合は2対8で、リスク資産はすべて株式で運用するインデックスファンドとし、地域別では先進国、日本、新興国の割合が6対2対2の比率です。一般的な市場時価総額比率の8対1対1に比べ、今後の成長期待から新興国の比重を高め、日本の比重も上げています。この配分比率にこれといった根拠はありません」

「リスク資産のリターンはマンション購入後からの5年弱の積み立て元本に対し、現在20%程度です。株式のみを投資対象としているのは,共働きで余裕資金のある間は長期運用の期待リターンを高くするためのリスクをとってもいいと考えているためです。現金は年1回のリバランス(配分調整)の原資にします」

「これ以外に生活防衛資金として生活費1年分相当の預金があります。妻はファンドのほかに預金や個人向け国債を保有していますので、資産配分を家族で合算してみると、普通預金と個人向け国債の比率が全体の55%程度を占め、比較的低リスクに収まっています(図A)」

「損して得を取る」のはカーリングと一緒

――カーリングと長期投資に共通点を見いだしたそうですね。

「趣味の一つがカーリングのテレビ観戦です。カーリングの魅力は『最終的に相手に勝つために、途中であえて相手に点を与える』という戦術にあります。いわば『損して得を取る』という作戦は、含み損を抱えた時でもコツコツ積み立てておくのが最終的なプラス(勝利)につながりやすいという点で長期投資に似ています」

「家計簿アプリを使っており、資産額の損益の数値を見ようと思えば簡単に見られますが、ほとんど気にしていません。定期的にブログの資産状況を更新する際にチェックするくらいです。投資し始めた頃は値段の上下が気になりましたが、今はほったらかしにしておいて全く平気です」

――アクティブ(積極)運用ファンドには投資しないのですか。

「インデックスファンドよりも高パフォーマンスを上げるアクティブファンドを見抜く自信がなく、最初にETFを買った時から今に至るまでアクティブファンドには関心がありません」

「インデックスファンドも信託報酬などのコストや投資地域は目配りして選んでいますが、今は保有ファンドが多くなってしまい、管理が少し面倒に感じています。いつかはファンド数を減らしたいと考えています(図B)」

最初のファンド選びは著名ブロガーのまねでOK

――投資初心者にはどんなアドバイスをしますか。

「インデックス投資ブロガーの方が次々と本を出版しています。仮想通貨のような派手さはなくても、コツコツ投資で十分な資産形成ができたという成功体験が広まってきているように感じています」

「初めはこうした著名ブロガーの方々が購入している投信をそっくりそのまままねして買うのでも良いと思います。私自身もそうでした。やがてそのうち自分の好みが分かり、自分に合った投信を選べるようになると思います」

「iDeCoやつみたてNISAなど、コツコツ投資を後押しする制度が次々と整備されています。まずは少額でも良いので始めてみてはどうでしょうか。『開店休業』のコツコツ投資なら、自分の本業にも集中できるはずです」

(QUICK資産運用研究所 聞き手は高瀬浩)

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